ラピスセミコンダクタ株式会社 (以下、ラピスセミコンダクタ) は、ADAS (先進運転支援システム) やAVAS (車両接近通報装置) の音声出力システムに最適な、車載音声合成LSI 「ML2253xシリーズ」を開発しました。 インターネットから 新製品「ML2253xシリーズ」は、再生音異常検知機能を新たに搭載しました。再生音異常検知機能は、スピーカ出力のアナログ信号を再デジタル化し、LSI内部の再生データと比較することで、設定値以上の異常検知時にエラー信号をメインマイコンへフィードバックします。これにより、音声出力システムの品質向上に貢献します。 従来のROMライターからのオンボード書き換え機能に加え、メインマイコンからの書き換え機能を新たに搭載しました。メインマイコンからSPI I/F経由で内蔵フラッシュメモリ (ML22Q53xシリーズ) もしくは外付けフラッシュメモリ (ML22530シリーズ) へのデータ書き込みが可能となり、開発中の音声データ書き換えはもちろん、製品出荷後でも音声データの書き換えが可能です。この機能により、今後インターネットとの接続が進み、IoT化する次世代自動車にも対応していくことが可能です。 新製品は圧縮方式にHQ-ADPCMを採用することで、高音質と省メモリというトレードオフの関係にある2つを両立しています。従来圧縮方式においては、効果音や音楽を圧縮した際の劣化が激しく、圧縮しないPCM方式を採用するしかありませんでした。一方、新製品においては、HQ-ADPCMを採用したことにより、メモリ容量を従来圧縮方式の1/5に圧縮しても、聞きやすい音で再生可能です。なお、音声データのHQ-ADPCMへの変換は、サウンドデバイスコントロールキットに含まれる、Speech LSI Utilityを使うことで可能です。 HQ-ADPCM は,「Ky’s」の高音質音声圧縮技術です。「Ky’s」は,国立大学法人九州工業大学の登録商標です。 新製品は、車載に求められる高温動作 (105°C) や車載向け部品信頼性規格 「AEC-Q100∗1」に対応しています。また、従来機種から搭載されていたショート検知、高温エラー検出、コマンド転送エラー検出などの異常検知機能も搭載しており、こちらも車載音声出力システムの信頼性向上に貢献します。 ∗ HQ-ADPCMでサンプリング周波数6.4kHz時の最大再生時間 ラピスセミコンダクタでは、音声データの作成から音声合成LSIのROMデータの作成・書き込み・試聴までを一貫して行える開発ツール「SDCK3」を用意しています。SDCK3と別売りのリファレンスボードを組み合わせることで、ハードウェアからソフトウェアまで一連の評価が可能です。 ∗ リファレンスボードの音声合成LSIはソケットで実装されており、購入時の製品をメモリ容量違いの同シリーズ品に差し替えて検討することができる。
要旨
ラピスセミコンダクタの音声合成LSIは、通信インターフェイス、ロジック、メモリ、アンプを全て内蔵していることから、メインマイコンに依存しない音声出力システムを構築することができ、ソフトウェア設計の工数を削減できるため、車載アプリケーションでの採用が進んでいます。
なお、新製品は2020年4月よりサンプル出荷 (サンプル価格1,300円 / 個 : 税抜) を開始しており、2020年7月から量産を開始する予定です。また、本ニュースリリースに合わせて、本製品の開発キット、リファレンスボードをチップワンストップ、コアスタッフオンラインにて販売しています。
ラピスセミコンダクタは、今後も音声合成LSIを開発し、音に関わる設計者の設計工数削減と社会の安心・安全をサポートすることで、多くの人が暮らしやすい社会の実現に貢献していきます。
背景
新製品は、メインマイコンのソフトウェア設計を低減しながら音声出力システムを構築できることに加えて、再生音異常検知機能により音声不具合を検知することで、音声出力システムのさらなる品質向上に貢献します。
購入可能
特長
1.再生音異常検知機能により、音声出力システムの品質向上に貢献
2.メインマイコンからのフラッシュメモリ書き換え機能により、出荷後も音声書き換えが可能
3.HQ-ADPCM方式による圧縮で、高音質と省メモリを両立
再生
方式音質
圧縮率
人の声
効果音
音楽
HQ-
ADPCM
方式○
○
○
1/5
ADPCM
方式○
×
×
1/4
ノンリニア
PCM
方式○
△
△
1/2
PCM
方式○
○
○
1
4.車載向けLSIに求められる各種機能の搭載
大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーで構成された団体 (AEC : Automotive Electronics Council) で作られた車載向け集積回路 (IC) の信頼性の業界標準規格です。欧米では車載向け電子部品の規格として広く採用されています。
車載機器向け ML2253xシリーズ ラインアップ
シリーズ名
ROM容量
(bit)最大再生
時間∗ (sec)サンプリング
周波数CPU
I/F出力/
クラス同時再生
チャンネル数動作温度
(°C)パッケージ
その他
ML22Q53x
内蔵フラッシュ
(2M/4M/16M)90/192/806
6.4
to
48.0 kHzSPI
I2C1.0W/AB級
@5V4ch
-40°C
to
+105°CTQFP
48
ML22530
外付けメモリ
(最大128M)6,541
IC間でデジタル音声データをシリアル転送するための規格。
サポート
インターネット販売について
新製品及び開発サポートキットは日本、中国のネット各社において
順次インターネット販売を開始します。
販売計画・用途