2011年7月27日
OKIセミコンダクタがセキュリティ機器向け送信専用無線LSIをサンプル出荷開始
ロームグループのOKIセミコンダクタは、セキュリティ機器市場向けに特定小電力の送信専用無線LSI「ML7386」を開発し、サンプル出荷を開始しました。本LSIは、小電力セキュリティシステムの標準規格(RCR STD-30(※1))及び426MHz帯域の一部の特定小電力システムの標準規格(ARIB STD-T67(※2))に使用できます。本LSIは、OKIセミコンダクタが得意とする低消費電力回路設計技術により業界最小クラスの低消費電力を実現するとともに、送信パワーアンプ(PA)用の専用レギュレータを搭載し低電圧での安定出力も確保できます。本商品は、7月よりサンプル出荷を開始するとともに、8月より月産30万個の体制で量産を開始する予定です。
現状のセキュリティシステムでは、AC電源を使用する他に電池で駆動するシステムも数多くあります。しかし、電池で駆動するシステムでは長時間駆動が課題となっていました。 また、遠隔ポイントでの無線による監視システムも増えてきているため、省電力化がより重要になってきています。
このような電池駆動かつ送信専用の市場に対し、OKIセミコンダクタでは、従来から得意技術とする低消費電力回路を用い「ML7386」を開発しました。従来、本分野での無線LSI商品では送信電力が入力電圧に依存するタイプが多く、電池の消費に伴い到達距離が変化するため、システムの機器配置定格範囲に影響を与えることや、一定以上の送信電力を確保するために電池の残容量があってもシステム運用を停止させざるをえないことがありました。「ML7386」ではこのような問題を解決するために送信パワーアンプ用の専用レギュレータを内蔵するとともに、電流と電圧の最適化を実現し(※3)、参考図のように低電圧でも安定した送信出力と、電池駆動によるシステムの長寿命化を実現できる商品となっています。 パッケージは、4mm x 4mmの28ピンWQFNパッケージを採用しています。
OKIセミコンダクタは、今後も小電力セキュリティ無線局や特定小電力無線局機器でご利用いただける400MHz帯域、900MHz帯域およびワールドワイドで使用可能な2.4GHz帯域の無線通信LSIの商品ラインアップ拡充を図っていきます。
特長
- 入力電圧依存を抑えた安定した送信電力特性
- 2.0Vで8.5mW以上の送信出力が維持できます。
- 広い周波数設定範囲
- 日本では426MHz帯域でご使用いただけますが、「ML7386」の周波数設定範囲は315MHzから450MHzのため、日本以外の地域の検討にご使用いただけます。
- 既存システムへの追従性
- 「ML7386」では、周波数偏位、データ極性を制御レジスタで可変に設定できるため、2値FSKのシステムであれば受信装置の要求に適合した送信波形を設定してご使用いただけます。
- 低消費電力
- 10mWの送信時の電流は25.8mA, ディープスリープモードに設定することで待機時には0.1µA(100nA)の超低消費電流が実現できす。
- 電池駆動
- レギュレータを搭載しているため単一電源で動作可能です。動作電圧も1.8Vからと低く、 8.5mW以上の出力を要求する場合でも、2.0Vから使用ができます。
販売計画
- ・商品名:ML7386
- ・梱包形態:テープ&リール 1000個
- ・サンプル出荷時期 :2011年7月
- ・サンプル価格 :450円(税別)
- ・評価ボード(単体) :2011年7月 (受注後1.5ヶ月程度で納入)
- ・量産出荷予定 :2011年8月より
商品の概要/特長
- ●周波数:426MHz(315~450MHzの設定が可能)
- ●変調方式:2値FSK/MSK
- ●変調速度:2400, 4800 および 7200bps
- ●符号形式:NRZまたはマンチェスターコード
- ●送信出力:10mW
- ●制御インタフェース:SPI
- ●動作温度範囲:-40 ~ 85℃ (特性保証温度範囲 -25 ~ 85℃)
- ●電源電圧:
- 1.8V ~ 3.6V (5mW以上の送信出力)
- 2.0V ~ 3.6V (8.5mW以上の送信出力)
- ●消費電流(Typ.)
- ディープスリープ時:0.1μA
- スリープ時:1.0μA
- アイドル時:0.5mA
- 送信時:25.8mA
- ●パッケージ
- 28pin WQFN (4mm × 4mm)
- RoHS準拠、鉛フリー、ハロゲンフリー
用語解説/注釈
- 注1:RCR STD-30
- 小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備に関する標準規格名称。
- 注2:ARIB STD-T67
- 特定小電力無線局 テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備に関する標準規格名称。426.025MHz以上426.1375MHz以下の周波数の電波の使用にあたってはキャリアセンスが免除されている。
- 注3:電力=電圧x電流のため、特定出力の電力をだすために、電圧を下げると電流を増やすことになる。
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