2009年12月7日
OKIセミコンダクタが多セル直列Li-ion電池監視ICチップセットの量産を開始
5セル~13セルのLi-ionバッテリパックに対応し、電動自転車、電動工具に最適な構成
OKIセミコンダクタは、多セル直列構成のLi-ionバッテリパックを搭載するシステム向けに、制御、監視、保護の全機能を提供するチップセット「MK5207」の開発を完了し、12月から量産出荷を開始します。本チップセットは、以下の二つのICにより構成されます。
- ML5207 監視用アナログフロントエンドIC
- ML5227 コントローラIC
本チップセットを使用することにより、充電時におけるセルバランス(注1)、過充電/過放電検出(注2)、ショート検出(注3)などの機能を備えたバッテリパック保護システムを容易に構築することが可能です。内蔵Flashメモリに過充電/過放電検出電圧などのパラメータを格納することができ、顧客要求に応じてさまざまなシステムに適用することが可能です。また本チップセットでは、制御プログラムコードを内蔵Flashメモリに格納するため、外付けのメモリは不要です。
なお、本チップセットは、OKIセミコンダクタ、天津南大強芯半導体芯片設計有限公司、および博通テクノロジー株式会社の3社で共同開発したものです。
開発の経緯
世界的な環境問題の取り組みから、エネルギーの効率利用が求められ、産業機器、民生機器の分野で、鉛電池からエネルギー効率の高いLi-ion電池への置き換えが加速しています。一方、Li-ion電池は過充電、過放電に弱いため、その充電/放電制御には、きめ細かな制御が求められます。 そこでこれらの市場ニーズに応え、多セル直列構成のLi-ionバッテリパックを搭載するシステム向けに制御、監視、保護の全機能を提供するチップセット「MK5207」を開発しました。
特長
- 80V高耐圧プロセスを採用し、多セル直列構成(5~13セル)のLi-ionバッテリパックに対応
- 各セルに対する高精度な過充電・過放電電圧検出(検出精度:±35mV @Ta=25℃)
- 各セルに対してバイパス回路を設け、充電時に高精度なセルバランス機能を実現
- 異常時のシステム保護機能を搭載
- 低消費電力(通常動作時:232µA @typ)
応用分野
- 電動アシスト自転車、電動自転車(主に海外向け)
- 電動工具
- UPS(無停電電源装置)
今後の展開
産業機器、民生機器用途を始めとして車載用途まで多セル直列構成のLi-ionバッテリパックの充放電制御IC商品のラインアップの拡充を図っていきます。
販売計画
- 商品名
MK5207 - サンプル出荷時期
供給中 - 評価ボード(貸し出し)
2009年12月 - 評価ボード(販売)
2009年12月(PC制御用ソフト付き) - 量産出荷予定
2009年12月 より
商品の概要/特長
- 多セル直列構成のバッテリパックに対応
- 本チップセットで、5~13セルのバッテリパックに対応
- 各セルに対する高精度電圧検出
- 過充電検出電圧:3.6V~4.4V(任意に設定可能) 検出精度:±35mV (Ta=25℃)
- 過充電解除電圧:3.4V~4.4V(任意に設定可能) 検出精度:±35mV (Ta=25℃)
- 各セルに対してバイパス回路を設け、充電時に高精度なセルバランス機能を実現
- 過放電検出電圧:2.0V~3.0V(任意に設定可能) 検出精度:±35mV (Ta=25℃)
- 過放電解除電圧:2.0V~3.0V(任意に設定可能) 検出精度:±35mV (Ta=25℃)
- 異常時のシステム保護機能を搭載
- ショート検出保護機能:
- 外付け容量にてショート検出時間を設定可能
- 2次保護機能:
- ML5207単独で、バッテリパックトータル電圧の過充電・過放電を 検出する機能およびML5227-ML5207間の通信異常を検出するための通信クロック停止検出機能を搭載
- 低消費電流
- 通常動作時:
- 232µA (typ、チップセット合計)
- パワーセーブ時:
- 105µA (typ、チップセット合計)
- パワーダウン時:
- 58µA (typ、チップセット合計)
- 動作温度範囲:‐25℃~+85℃
- 電源電圧:+8V~+57.2V(ML5207に供給)
- パッケージ
- ML5207:
- 44pin plastic QFP (QFP44-P-910-0.80-2K)
- ML5227:
- 48pin plastic TQFP(TQFP48-P-0707-0.50-K)
用語解説
- 注1:セルバランス
- 各セルにバイパス経路を設け、充電時、電圧の高いセルへの充電電流はバイパスし、電圧の低いセルのみ充電させ、セル電圧を均一化する機能です。
- 注2:過充電/過放電検出
- 過充電検出とは、充電時に、各電池セルの電圧がある一定値を超えた場合、および充電電流がある一定値を超えた場合に検出する機能です。 過放電検出とは、放電時に、各電池セルの電圧がある一定値を下回った場合、および放電電流がある一定値を超えた場合に検出する機能です。 過充電/過放電検出することにより、MK5207は、充放電用MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を制御し、電流の経路を遮断させて、バッテリパックおよび接続機器(充電器または負荷)を自動的に保護します。
- 注3:ショート検出
- ある一定値(過放電検出以上)を超える電流が、バッテリパックから負荷に流れた時に検出する機能です。ショート検出することにより、MK5207は、充放電用MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を制御し、電流の経路を遮断させて、バッテリパックおよび負荷を自動的に保護します。
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