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画質調整LSI「ML86V8101」

2009年6月8日

タイミングコントローラ内蔵 中小型TFT液晶ディスプレイ用 画質調整LSIを開発

TFT液晶ディスプレイを用いた映像表示システムの最適な画質調整を実現

パッケージ写真

OKIセミコンダクタは、このたびタイミングコントローラ(以下TCON注1)内蔵 中小型TFT液晶ディスプレイ用 画質調整LSI「ML86V8101」を開発しました。本LSIは画質調整機能とTCONの1チップ化および3.3V単一電源化を実現し、映像表示システムの高画質化とコスト・実装面積の削減を可能とします。

本LSIはディジタルRGB映像信号に対しコントラスト調整、ブライト調整、ガンマ補正注2を行う機能を有し、TFT液晶ディスプレイを搭載した映像表示システムに対し最適な画質調整を実現できます。またTCONを内蔵することでQVGA注3からQHD注4までの多様なTFT液晶パネルへの直接接続が可能となります。また、本LSIは-40℃~+85℃の動作温度保証をしているため、カーナビゲーション、ディスプレイ付きオーディオ注5、後部座席パネル(RSE注6)などの車載映像表示システムに使用できます。

本LSIは5月よりサンプル出荷しており、量産出荷は2009年8月を予定しています。

開発の経緯

近年、ワールドワイドで需要が拡大している画像機器市場として車載用カメラシステム注7があります。車載用カメラシステムの映像表示システムとしては、現在広く普及しているカーナビゲーションに加え、従来のカーオーディオにTFT液晶ディスプレイを採用したディスプレイ付きオーディオの需要拡大が見込まれています。しかしディスプレイ付きオーディオは従来のカーオーディオに簡易にかつ安価に映像表示機能を追加する場合が多く、システムに対して最適な画質調整を行うには限界がありました。

そこでこれらの市場ニーズに応え、ディスプレイ付きオーディオ等の映像表示システムに対して最適な画質調整を実現できる画質調整LSI「ML86V8101」を開発しました。
本LSIを使用することにより、カーナビゲーションより安価に構成できるディスプレイ付きオーディオにおいても、画質向上が実現できます。

特長

画質調整機能とTCONの1チップ化・3.3V単一電源化を実現
画質調整機能とTCON機能の1チップ化および3.3V単一電源化を実現したことで、映像表示システムの高画質化とコスト・実装面積の削減が可能となります。
RGB共通コントラスト調整およびRB個別コントラスト調整
入力画像データの傾きを変更するコントラスト調整機能を持っています。コントラスト調整はRGB共通に傾きの変更を行った後に、RとBの個別変更が可能です。RとBの個別変更を採用することにより、従来よりもシステムに最適な調整が可能となります。
RGB共通ブライト調整およびRB個別ブライト調整
入力画像データにオフセットを付加するブライト調整機能を持っています。ブライト調整はRGB共通にブライト調整を行った後に、RとBの個別にブライト調整を行うことが可能です。RとBの個別変更を採用することにより、従来よりもシステムに最適な調整が可能となります。
RGB独立ガンマ補正
9点の制御ポイント設定により入力画像データに対する出力画像データの線形性を操作します。この制御点による線形性の操作はRGB独立に行えます。
TCON内蔵
水平制御信号を最大4種、垂直制御信号を最大3種出力することができます。QVGAからQHDまでの画素数のTFT液晶ディスプレイの動作タイミングを制御することが可能です。
多階調化処理
内部データ処理における誤差を少なくするため、内部データの下位2ビットによる多階調化処理を行います。多階調化処理はディザ法注8とFRC注9方式を利用し、擬似的に2ビット分の階調補償を行います。これによりRGB各6bit出力でありながら各8bit相当の階調を実現します。
車載動作温度に対応した安心品質
動作温度範囲は-40℃~+85℃ を保証していますので、民生用途だけでなく車載映像表示システムに使用できます。

今後の展開

今後は本LSIをベースにダイナミックコントラスト注10等の高画質化、LVDS注11 I/F等を採用 していくことも検討し、より付加価値の高い画質調整LSI商品の開発、提供を行っていきます。

販売計画

・商品名:
ML86V8101TBZ03A
・サンプル出荷時期:
サンプル出荷中
・量産出荷予定:
2009年8月

商品の概要/特長

・ディジタルビデオ入力形式:
18ビットRGB入力
・コントラスト調整:
RGB共通コントラスト調整及びRB個別コントラスト調整
・ブライト調整:
RGB共通ブライト調整及びRB個別ブライト調整
・ガンマ補正:
RGB独立調整
・ディスプレイインタフェース:
18ビットRGB出力、データクロック
水平制御信号最大4種、垂直制御信号最大3種
表示イネーブル、交流化信号
・ホストインタフェース:
I2Cバス
・動作温度範囲:
-40℃~+85℃
・動作周波数:
最大50MHz
・電源電圧:
I/O 3.3V±0.30V、ロジック 3.3V±0.30V
・パッケージ:
TQFP 64ピン(P-TQFP64-1010-0.50-ZK1)
・商品名:
ML86V8101TBZ03A(鉛フリー)

用語解説

注1:TCON
Timing Controllerの略。TFT液晶ディスプレイのタイミング仕様に合わせた水平制御 信号、垂直同期信号、データクロック等を出力し、幅広いTFT液晶ディスプレイに 対応できるようにした機能。
注2:ガンマ補正
入力画像データに対する出力画像データの線形性を操作することで映像信号の明るさや色合いを調整する機能。
TFT液晶ディスプレイの特性によっては、同じ入力画像データに対して表示される明るさや色合いが異なってくる。そのため、それらの誤差を補正するために、ガンマ補正が用いられる。
注3:QVGA
Quarter Video Graphics Arrayの略。ディスプレイの解像度のひとつで、画面を構成するドット数が320×240ドットであるもの。画面解像度のひとつの基準となっているVGA(640×480ドット)と比較して、面積・画素数が1/4(Quarter)であるため、このように呼ばれる。
注4:QHD
Quarter High Definitionの略。ディスプレイの解像度のひとつで、画面を構成するドット数が960×540ドットであるもの。一般にHDは垂直解像度が720 pixels以上の解像度のものをあらわすが、ここでは1920×1080ドットのFull HDの1/4(Quarter)であることから、このように呼ばれる。
注5:ディスプレイ付きオーディオ
カーオーディオにディスプレイ機能を付加したシステム。車載用カメラシステムの表示機器として従来のカーナビゲーションなどに比べ安価に構成できるため、需要が拡大している。
注6:RSE
Rear Seat Entertainmentの略。自動車の後部座席でDVDやデジタルTV放送等の各種映像を視聴するためのシステム。
注7:車載用カメラシステム
リアビュー・モニタ、側方監視モニタ、コーナー監視モニタなど、アナログ・ビデオ カメラを用いた車に搭載する各種カメラシステム。
注8:ディザ法
ディザ(Dither)とは量子化の誤差を最小にするためにサンプルデータに意図的に追加される誤った信号・データのことであり、このようなデータを追加する作業および技法をディザリング(Dithering)またはディザ法と呼ぶ。
注9:FRC
Frame Rate Controlの略。画面のフレーム書き換え/フレームレート、および人間の目の残像効果を利用して、擬似的に色を表現する技術。人間の目は、2つの色が高速で切り替わるとそれが1つの中間色として映る。この性質を利用して、データを4フレーム周期で変化させることで本来の色の間に3色の疑似色を表現できる(2bitFRCの場合)。これによりRGB各6ビットの出力で8ビット相当の階調表現が可能となる。
注10:ダイナミックコントラスト
表示内容に応じてバックライトの輝度をリアルタイムに変更し、コントラスト比を上げる機能。画面全体が暗いときにはバックライトの輝度を下げ、画面全体が明るいときにはバックライトの輝度を上げることで、暗い画面はより暗く、明るい画面はより明るくなりコントラスト比を上げることができる。
注11:LVDS
Low Voltage Differential Signalingの略。1本の平衡ケーブルか、PCBで形成した2本の配線パターンを通じて、約350mVの小振幅の差動信号でデータ通信を行う方式のひとつ。

※その他記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。

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