2015年7月2日付、電波新聞ハイテクノロジー

はじめに
Bluetooth SMART規格の登場でウェアラブル機器に代表される様々なデバイス・機器がスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなどのモバイル端末と繋がり、新たなサービスが各所で検討されている。これらに用いられる無線通信製品の開発にはアンテナ設計をはじめとする高周波設計や各種回路調整、経験・ノウハウが必要とされる。こうした中、技術・経験・ノウハウや無線認証といった煩わしさなしに、誰もが手軽に使用できる無線通信モジュールが注目されている。
ラピスセミコンダクタでは、市場のひろがりをみせるスポーツ&フィットネス機器、ヘルスケア機器などに最適なBluetooth® SMART対応無線通信モジュール「MK71050-03」を開発、2015年4月より量産出荷を開始した。
以下に、MK71050-03の商品概要、及びMK71050-03を搭載した評価キット、開発ツール類に関して記載する。
MK71050-03商品概要

MK71050-03は、既に量産中のBluetooth SMART搭載ウォッチなどに採用実績のあるBluetooth SMART対応無線通信LSI「ML7105」に、EEPROM、マスタクロックの26MHz水晶振動子、及びパターンアンテナを内蔵した小型モジュール【図1、外観写真参照】である。
無線通信のための各種調整が不要であり、主要地域(日本、米国、欧州)の無線認証、及びBluetooth® SIG認証も取得済みであり、無線に慣れていないお客様でもすぐに使用していただくことが可能である。また、自社製LSIを搭載した無線通信モジュールであるため、中身にブラックボックスが一切無く、迅速で充実した開発サポートの提供が可能である。

MK71050-03のブロック構成を【 図2 】に、仕様概要を【 表1 】に示す。
ホストマイコンとの接続はSPIインタフェースで接続し、ラピスセミコンダクタ独自のコマンド、データフォーマットで制御を行い、3つの専用端子を併用する。IRQ端子がML7105からホストマイコンへの割り込み通知信号、WAKEUP端子はホストマイコンからの応答信号、そしてRF Active端子は無線通信状態を示す信号である。
EEPROMのデータサイズは16kbyteであり、無線通信LSI「ML7105」の基本動作を決める設定パラメータ (送信出力設定やBluetooth®デバイスアドレス等) が格納されるコンフィグデータ領域 (128byte) に加え、ホストマイコンが任意に使用可能なアプリケーション領域 (約15kbyte) から構成される。
また、フランスInsight SiP社と共同でML7105に最適なパターンアンテナを開発し、内蔵しているため、良好なアンテナ伝搬特性を実現している。
MK71050-03は、既に量産中のBluetooth SMART搭載ウォッチなどに採用実績のあるBluetooth SMART対応無線通信LSI「ML7105」に、EEPROM、マスタクロックの26MHz水晶振動子、及びパターンアンテナを内蔵した小型モジュール【図1、外観写真参照】である。
無線通信のための各種調整が不要であり、主要地域(日本、米国、欧州)の無線認証、及びBluetooth SIG認証も取得済みであり、無線に慣れていないお客様でもすぐに使用していただくことが可能である。また、自社製LSIを搭載した無線通信モジュールであるため、中身にブラックボックスが一切無く、迅速で充実した開発サポートの提供が可能である。
項目 | 仕様 |
---|---|
品名 | MK71050-03 |
電源電圧(V) | 1.8 to 3.6 |
動作温度(°C) | -20 to +70 |
ホストCPUインタフェース | 同期シリアル (SPI) or UART |
対応規格 | Bluetooth® Core Spec v4.0 (Single mode) |
外形寸法 | 10.7mm × 13.6mm × 1.78mm |
パッケージ | 52pin LGA |
使用周波数帯 | 2.4GHz ISM Band |
送信出力 | 0/-6/-12/-18dBm |
受信感度 | -86dBm |
備考 | Bluetooth®認証 (End Product、QDID : 66491) 日本 工事設計認証 (認証番号 : 006-000238) 米国FCC Part15 Subpart C モジュール認証 (FCC ID : 2ACIJ71050-3) 欧州 EN300 328 V1.8.1適合 |
評価キット概要

よりMK71050-03を評価しやすくするため、ホストマイコンとしてラピスセミコンダクタ8bitマイコン (ML610Q482) を搭載したUSBドングルタイプの評価キット : MK71050-03USB-EK【図3、外観写真参照】を用意した。
また、ラピスセミコンダクタ提供のBluetooth® SMARTコントロール用 スマートフォンアプリ「BLE TOOL 」をGoogle Playから無料ダウンロードすることができ、購入後直ぐに通信確認、評価を行う事が可能である。
MK71050-03USB-EK
MK71050-03評価キット(MK71050-03USB-EK)は、ATコマンドにより各種設定、通信制御が可能であり、下記の機能に対応している。
- Peripheralモード接続制御 (Advertise / Pairing / Connection / Disconnection)
- Centralモード接続制御 (Scanning / Pairing / Connection / Disconnection)
- ペアリング機能 (Just Works / Passkey entry) : 最大5台までの端末とペアリング可能
- 端末固有情報の設定 (BD Address等)
- 各種パラメータ設定 (Advertise / Scanning / Connectionパラメータ、及びiBeaconパラメータ設定)
また、MK71050-03USB-EKは、Bluetooth SMART接続におけるCentral (Master)、あるいはPeripheral (Salve) として機能させることができるため、BLE TOOLをインストールしたスマートフォン (Central) との接続、あるいは2つのMK71050-03USB-EKでの対向通信 (Central-Peripheral) を行うことができる。なお、MK71050-03USB-EKの各種パラメータ設定、通信制御はターミナルソフトウェア、あるいはラピスセミコンダクタ提供の評価キット設定ユーティリティ【図4】経由で行う事ができる。評価キット設定ユーティリティを使用すると、各種設定情報の 読み出し / 書き込み、及びCentral、またはPeripheralモードでの接続制御、接続確立後のシリアルデータ通信をGUIインタフェースで容易に行う事ができる。

なお、BLE TOOLの動作環境は、Bluetooth SMART機能を有したAndroid 4.3以降のスマートフォンあるいは、タブレット端末に対応している。

今後の展望
ラピスセミコンダクタは、これから市場拡大が期待される用途が拡大するIoT、M2M市場向けにも、誰でも手軽に無線通信環境の構築が可能となる無線通信LSIや自社製LSIの強みを生かした無線通信モジュールの開発、及びロームグループの強みを活かし、無線 / MCU / センサー / 電源等を複合したソリューションビジネスの展開を進めていく。