多種多様な用途をカバーする120機種をラインアップ

家電・産業機器用途16 ビット汎用マイコン
開発プロジェクト

マイコン(マイクロコントローラ)は、家電から産業機器、車載や医療などの幅広い分野において、さまざまな機器に搭載され、情報処理や制御に利用されているLSIです。当プロジェクトでは、機器搭載時の安全性を確保した上で、多種多様なニーズにも応えることができるよう120機種のラインアップを揃えた16ビット汎用マイコン、いわゆる1000シリーズ(ラピスセミコンダクタでの呼称)を開発しました。

PROJECT MEMBER

MCU 開発第一チーム

開発エンジニア

1990 年入社

需要が増える16ビット汎用マイコン
市場のニーズに応えるマイコンを安定供給する

開発の背景

16ビット汎用マイコンは、掃除機や冷蔵庫、炊飯器といった身近な家電から産業機器にいたる幅広いアプリケーションで使用されており、その需要は増え続けています。

ラピスセミコンダクタは特定顧客、特定用途に対して最適化するカスタムマイコン開発を中心に40年の長い歴史があります。当プロジェクトでは、カスタムマイコン開発で培った技術力と経験を活かし、幅広いアプリケーションで増え続ける需要に応えるべく、16ビット汎用マイコンのラインアップ実現を目指して開発をスタートさせました。



多種多様のアプリケーションに対応し、最新の安全性能を備える

汎用マイコンとしての開発コンセプト

商品開発では、開発コンセプトを明確にすることが非常に重要です。市場要求を満たすことはもちろんですが、潜在ニーズを汲み取り将来の需要にも備えなければなりません。そのためには、市場のニーズ、ラピスセミコンダクタの保有技術、そして開発が必要な技術を明確にし、収益性も含めて議論する必要があります。

汎用マイコンは、搭載されるアプリケーションに対して、過不足ない「ちょうどいい」仕様を備えていなければなりません。16ビット汎用マイコンは、家電から産業機器まで、非常に広い範囲の多種多様なアプリケーションで使用されているので、必要になるI/Oポート数やメモリ容量、周辺機器の組み合わせは様々です。お客様はいつも適材を求めており、お客様に「ラピスセミコンダクタのマイコンは、バリエーションがたくさんあるので、ちょうどいい仕様のものが選べる」と言っていただけることを目指した結果、120機種のラインアップを開発するに至りました。

市場ニーズの取り込み

近年高まっている市場ニーズの1つに、安全性の確保があります。家電に限らず機器からの発煙や発火は人身事故につながる大問題です。
またそれに伴う補償やリコールの費用は、企業にとって大きな損失であり、社会的信用に関わる問題です。

そこで今回の開発では、ノイズ耐性を高めることで外因による誤動作や故障を減らし、さらにマイコン内部の故障を検知する自己診断機能を搭載して、家電の国際安全規格IEC60730の規定項目にも対応することにしました。当社のマイコンを採用いただいたお客様だけでなく、エンドユーザー(消費者)にも安全に長く使用していただけることを目指しました。

部門間の協力を得て開発課題を解決

開発課題

ラピスセミコンダクタは、1980年から40年にわたりマイコンを開発しています。
これまでラピスセミコンダクタで開発したオリジナルのマイコンは、低消費電力と高ノイズ耐性についてお客様から好評価をいただいています。この特長を活かしつつ、今回のプロジェクトでは3つのチャレンジに取り組みました。
1つ目は、汎用マイコンで120もの機種で構成されるシリーズの開発、2つ目は国際安全規格IEC60730への対応、そして3つ目はノイズ耐性の強化です。

主体のハードウェア開発チームが作業の効率化を図ったのはもちろんですが、ノイズ耐性の強化は共通技術部門との協議を重ねることで実現し、安全規格への対応はソフトウェア部門とアーキテクチャの切り分けの議論を重ねて、他の関連部門や有識者と共同で機能を作り上げました。
ラピスセミコンダクタでは開発時に他部門の協力を得て課題解決を進めるのは普通ですが、今回は初めてのことが多かったのでとても助かりました。

特に苦労したこと

120という多くの機種をできるだけ迅速かつ効率よく開発するために、ベースとなる機能をプラットフォーム化しました。

そのプラットフォームがどうあるべきかの検討では、回路設計やレイアウト設計等の開発工程だけでなく、出来上がったLSIの評価工程も含めて、共通化することが一番大変でした。
また、ラインアップを順次開発していく中で、変更が必要となることもありましたが、都度検討を重ねて解決していきました。

開発目標を達成し家電を始めさまざまなアプリケーションに採用

現在の状況

3つのチャレンジをやり遂げ、2019年9月に全120機種の開発を終え、量産化の対応が完了しました。
安全規格への対応は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで業界トップクラスの13項目に対応することができました。ノイズ耐性は「タフマイコン」の名称で知られている既存品を上回るレベルになりました。初期にリリースした機種からお客様での評価が進められ、家電をはじめとしたさまざまなアプリケーションで採用され、搭載機器の市場での販売も始まっています。

目標達成のための積極的な意見がプロジェクト成功のカギに

プロジェクトを振り返って

汎用マイコンのラインアップ構築において、120もの機種構成の実現と国際規格への対応、安全性確保のための技術開発といった大きなチャレンジがありました。これらを達成する過程では、さまざまな問題が発生しましたが、チームメンバーからの多くの意見やアイデアによって、無事開発を終えることができました。

特に、入社3年目の若手エンジニアが積極的に意見を出してくれたことが、大きなターニングポイントとなり、他のメンバーからもどんどん意見が出るようになりました。

途中からプロジェクトに加わったメンバーも含めて、プロジェクトメンバー全員が『目標達成のために何をするべきか』という共通の視点から、互いに意見を出し合い、継続的に開発効率を上げていくマインドを持って仕事を進められたことも、このプロジェクトの大きな成果だったと感じています。