車載向け液晶ディスプレイの大型化・高解像度化・マルチ化に対応する

液晶ディスプレイドライバLSI
開発プロジェクト

液晶ディスプレイドライバLSIとは、送られてきたロジックレベルの画像信号を液晶ディスプレイ(LCD)の駆動電圧に変換し、LCDに画像表示させるためのLSIです。近年、車載用LCDは大型化や高解像度化、マルチ化が進んでおり、既存の表示システムやディスプレイドライバでは対応が難しくなっています。
この状況を踏まえ、当プロジェクトでは、車載用LCDの高解像度化やマルチ化に対応するディスプレイドライバを開発しました。

PROJECT MEMBER

ドライバLSI 開発チーム

開発エンジニア

2007 年入社

車載向け液晶ディスプレイの大型化や高解像度化、マルチ化に対応するディスプレイドライバが必要に

開発の背景

近年、メーターパネルや地図表示、エアコン・車の設定や状態といった多くの情報を一枚のLCDで表示させる、高解像度センタークラスターパネルを搭載した自動車が増えつつあります。
また車載カメラの普及から、ルームミラーやサイドミラーなどのLCD化も進んでいます。
今後、車載向けLCD市場はますます増加が見込まれることから、これら車載用LCDの大型化、高解像度化、マルチ化に対応した新しいディスプレイドライバの開発に着手しました。


新規高速インタフェース開発のため関連企業と共同作業を行う

最大の開発課題

車載の表示システムは、一般的には左記のような構成となっています。ディスプレイドライバは、TCON(タイミングコントローラLSI)から送られるロジックレベルの画像信号を受信し、LCDに表示させるのが仕事です。
車載用LCDの大型化や高解像度化のためには、このデータ伝送を高速化する必要があります。さらにコストの観点から、従来はLCDごとに配置していたTCONをまとめ、1つのTCONで複数のLCDを制御するシステム構成にしなければなりません。1つのTCONで複数のLCDにデータ伝送を行うために、データ伝送のさらなる高速化が必要でした。

ロームとの共同開発

この高速データ伝送を実現するため、車載用としては初の新規高速インタフェースを開発しました。データ伝送・受信回路、データ伝送路の構成やデータの並びに至るまで、すべてのインタフェース仕様を見直し、従来にない画像データの大容量・高速伝送を実現します。そのインタフェースをディスプレイドライバに搭載することは、非常に大きなチャレンジとなりました。

TCONの供給メーカーはグループ会社のロームであるため、ロームTCON設計部隊と共同で、新規高速インタフェースの開発を進めました。特に高速伝送は一筋縄では行かず、また車載品の新規開発ではクリアしなければならない基準が厳しいこともあり、開発は難航しました。開発メンバー同士で頻繁に検討を重ねるなどコミュニケーションを重視しながら、共同で開発を進めていきました。

トラブルを早期に解決したFace to Faceのコミュニケーション

大変だったこと

新規開発の高速インタフェースの通信プロトコルができあがり、お客様であるLCDパネルメーカーのデモ機に搭載したところ、評価中に誤動作が起こりました。
当時LCDパネルメーカーはそのデモ機を、近々開催される大きな展示会に出展する予定でしたので、大至急この問題を解決しなければなりませんでした。そのため、パネルメーカー、ローム、ラピスセミコンダクタの3社が共同で問題の解析を行い、迅速に対策を講じました。

その際に、私はヨーロッパにある自動車電装メーカーに飛ぶように言われ、急遽その日の夕方の便で現地に向かいました。
問題が起きた場合は現地に直ちに赴くというのは聞いたことのある話でしたが、私には初めてのことでした。それだけ事態は切迫していたということです。少々乱暴な話に聞こえますが、これが事態を非常に良い方向に動かしました。片言のコミュニケーションになることもありましたが、Face to Faceゆえでしょうか、皆さんが親身になって協力してくれました。

数年後には自分が開発したディスプレイドライバをのせた自動車が街を走る

プロジェクトの現状

開発はほぼ終わり、2020年春からの量産に向けて準備中です。また、開発したディスプレイドライバを搭載した車載用パネルのデモ機が展示会に出展され、好評価をいただきました。重要な車載品は、市場に出るまでに数年かかりますが、近い将来、自分が開発したディスプレイドライバをのせた自動車が街を走ると思うと、非常に楽しみです。

開発プロジェクトでは確かな技術に加えてコミュニケーションが大切

プロジェクトを振り返って

今回のプロジェクトの重要なポイントは、新規開発となる高速インタフェースの搭載でした。これは、データを受信するディスプレイドライバ側が単独で開発できるものではなく、データを送信するTCON側と共同で開発する必要がありました。TCONを提供するロームとはグループ会社の関係ですが、これまで以上の密接なコミュニケーションが鍵となりました。

また、お客様の評価中に問題が起き急遽現地ヨーロッパまで飛んだことは、短期間での解析など体力的には大変でしたが、結果的には早期の解決に至り、お客様にも感謝され、充実した気持ちで帰途につくことができました。Face to Faceという対応は、状況によっては、それが問題解決のきっかけとなるということを実感しました。

開発したディスプレイドライバを使ったデモ機を初めて見たときは、車載では類を見ないほど大型のパネルで、今後の車内デザインを大きく変えるインパクトを感じました。 自社内のチームだけではなく、多くの外部の方々の協力を得られたことで、このプロジェクトを遂行できました。そして、近い将来の車載アプリケーションに貢献できるディスプレイドライバを開発できたことを、大変うれしく思っています。