LPWA対応 デュアルモード 無線通信LSI「ML7404」
業界初※、低電力広域通信 (LPWA) 対応
デュアルモード無線通信LSI「ML7404」を開発
~ SigfoxとIEEE802.15.4kの両方式に対応し、IoT機器の通信距離がSubGHz無線比10倍に拡大 ~
※ : 2017年8月ラピスセミコンダクタ調べ
要 旨

ラピスセミコンダクタは、IoT無線通信の新分野として期待される低電力広域通信 (LPWA:Low Power Wide Area) に最適な無線通信LSI「ML7404」を開発しました。
ML7404は、業界で初めてLPWAデュアルモード対応を実現した無線通信LSIです。免許不要のSubGHz帯域を用いたLPWAのなかでも、世界30カ国以上で採用が進み、国内でも首都圏を中心に展開され始めた「Sigfox」の無線方式に対応すると同時に、同一システムの妨害波耐性が高く、より多くの端末をネットワーク傘下に収容できる特長をもつ国際標準規格「IEEE802.15.4k注1」無線方式にも対応しました。この業界初デュアルモード対応によって、適用範囲の広いLPWAゲートウェイなど幅広い用途・仕様での活用を可能にしています。
本商品は、2017年7月にサンプル出荷を開始し、2017年12月より量産出荷の予定です。生産拠点は、前工程がラピスセミコンダクタ宮城株式会社(宮城県)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd. (タイ) になります。
なお、LPWA無線機器開発を容易にして、さらなるIoT社会に貢献するべく、本商品を搭載した通信モジュールもパートナー会社から発売予定です。また、本商品のIEEE802.15.4k用プロトコルスタックもパートナースタックベンダ会社が、オープンソースとして提供予定です。
【用語解説】
- 注1 : IEEE802.15.4k
- 世界標準規格のIEEEシリーズの長距離無線規格。直接拡散方式による受信感度向上により、長距離通信を図る。なお、IEEE802シリーズでは、無線LAN、Bluetooth、ZigBee、Wi-SUN等の物理層も標準化されている。
背 景
近年、IoTの無線通信として免許不要のSubGHz帯域を使用するLPWAが注目されています。しかし、国や地域によって通信方式は様々で、IoTネットワークの多様性から主流となる方式は定まっていません。
ラピスセミコンダクタは、これまでSubGHz帯域の特定小電力無線局用の無線通信LSIを業界に先駆けてリリースし、無線通信による世の中のスマート化の実現に貢献してきました。そして今回、早期のIoTネットワークの立上げ、効果的なサービスやアプリケーションの普及に向け、複数方式に対応したLPWA無線通信LSIを開発しました。
新商品の特長
1. LPWA無線通信方式として、SigfoxとIEEE802.15.4kの2方式に対応
- ML7404は、欧州を中心にサービス実績があり、今春から首都圏でサービスインしたSigfoxに対応すると同時に、国際標準規格であるIEEE802.15.4kにも対応したデュアルモードLPWA無線通信LSIです。
欧州をはじめ世界30カ国以上でサービス実績のあるLPWA無線方式で、国内では今春から首都圏を皮切りにサービスインしたSigfoxに対応しました。
IEEEが定めた802.15.4k規格は、直交性を持った拡散符号によるDSSS注2が特長で、他の拡散無線通信方式に比べて同一システムの妨害波耐性が高く、より多くの端末をネットワーク傘下に収容できる特長があります。免許不要で汎用的に利用されるSubGHz帯域において、高い信頼性が認められる本規格に準拠しています。
項目 | ML7404 | LoRa | Sigfox : 30カ国以上で採用 (2017 / 2月現在) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
Sigfox | IEEE 802.15.4k |
|||||
周波数帯 | SubGHz帯 (Regional Unlicensed Band) |
ヨーロッパ | 18カ国 : 仏、独、英など | |||
サービス スキーム |
公衆 | 自営 | 自営 / 公衆 | 北中南アメリカ | 5カ国 : 米、墨、伯など | |
通信方法 | 上り | 上り / 下り | 上り / 下り | アジア・オセアニア | 8カ国 : 日、台、豪など | |
特長 | 30カ国以上で採用 または、採用検討中 |
同一システム 妨害波に強い |
400近い アライアンスメンバ |
アフリカ | 1カ国 : 南アフリカ |
【用語解説】
- 注2 : DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum : 直接拡散方式)
- スペクトル拡散の方式の一つ。ベースバンド信号を広い帯域に分散して送信する。通信中の妨害波等のノイズは、受信時の逆拡散により、周波数拡散されるため、通信の強靭性に優れる。
2. Sigfoxで使用のBPSK変調回路を業界初ハード化することで、セットの低消費電力化に貢献
- Sigfoxでは、従来のSubGHz無線では採用されていないBPSK変調を使用します。これまでSigfoxに対応した無線通信LSIは、BPSK変調に対応していないため、制御マイコンのソフトウェアでBPSKのシンボルデータを作成する必要があります。この方法では、無線通信を行う度に、制御マイコンを駆動しなければならず、セットとしては無駄な消費電力が生じます。そこで、ML7404はSigfoxに対応するにあたり、BPSK変調回路のハード化を行いました。
これにより、制御マイコンは、無線通信動作中に無線通信の物理層に関与する必要がなくなり、通信システムとしての低消費電力化が図れます。
3. 開発サポート
- 評価キットにサンプルプログラム(簡易MAC)、各種テストシナリオを添付。 モジュールタイプのリファレンス設計情報の提供を準備しています。さらに、ラピスセミコンダクタ ホームページのサポートページへ登録いただく事で様々なマニュアルやツールがダウンロードできるなど、充実したサポート体制を提供いたします。
また、本商品を搭載した通信モジュールやIEEE802.15.4k用の低消費電力プロトコルスタックをパートナー社から発売、提供の予定をしています。
仕様
項目 | ML7404 | ||
---|---|---|---|
Sigfox | IEEE802.15.4k | SubGHz無線 | |
対応周波数 | 750MHz ~ 960MHz | 315MHz~ 960MHz | |
ベース変調方式 | BPSK | 4GFSK/4GMSK、 GFSK/GMSK、 FSK/MSK |
|
長距離化手法 | UNB | DSSS | |
転送速度 | 100bps | 0.625k ~ 25kbps | 0.1k ~ 200kbps |
送信パワー | 最大+17dBm | ||
受信感度 | -121dBm @ 200kbps、400kHz |
-120dBm @ 2.4kbps、433Mhz帯 -109dBm @ 38.4kbs、920MHz帯 |
|
符号化方式 | NRZ、マンチェスタ、3 out of 6 | ||
その他 | ウェークアップ機能、アドレスフィルタ機能搭載、アンテナダイバーシティ | ||
電源電圧 | 1.8V ~ 3.6V (1mW) | ||
送信時電流 | 34mA @ 20mW | 34mA @ 20mW | 34mA @ 20mW |
受信時電流 | 13.6mA | 13.6mA | |
通信距離※ | ~10Km | ~1Km | |
スリープ電流 (内蔵タイマON) |
1.2µA | ||
パッケージ | 32ピン WQFN |
販売計画・応用分野

- 商品名 : ML7404
- サンプル出荷時期 : 2017年7月から
- サンプル価格 (参考) : 1000円 (税別)
- 量産出荷予定 : 2017年12月から
- 量産出荷数 : 月産10万個
- 梱包形態 : テープ & リール 1000個
- 応用分野 : ガス / 水道スマートメータ、センサネットワーク、構造物ヘルスモニタリング、スマート農業、防災、その他の長距離無線通信が必要な産業機器全般
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