13直列セル対応 リチウムイオン電池監視LSI「ML5245」
市場が拡大する電動自転車などのLEV※1に最適、
13セル対応リチウムイオン電池監視LSI「ML5245」を開発
~ リチウムイオン電池パックの開発期間短縮、高信頼化、安全性向上に貢献 ~
※1 : Light Electric Vehicleの略。電動モーターの駆動力で移動する電動軽車両の総称。
要 旨
ラピスセミコンダクタは、市場が拡大する電動自転車や電動バランス車、電動カートなど、LEVのリチウムイオン電池パックに最適な13直列セル対応リチウムイオン電池監視LSI「ML5245」を開発しました。
ML5245は、最大13直列セルまで対応し、マイコンによる制御を必要としない スタンドアロンタイプの電池監視LSI です。専門的で工数のかかるマイコンのプログラム開発を不要にできるため、電池パックの開発を容易にし、お客様の製品の開発期間短縮に貢献します。また、電池監視LSI の基本機能に加えて、温度検出機能と充放電用FET (NMOS - FET) の過熱防止機能、放電用FETの強制OFF機能、セル電圧読み出し機能の4つを追加しており、電池監視だけでなく周辺回路の機能も取り込むことで、システムの信頼性、電池パックの安全性をさらに高めます。さらに、長期保管時の電池消耗に影響するパワーダウン時の低消費電流0.1µAも実現しています。
なお、本LSIは4月からサンプル出荷 (サンプル価格 800円 / 個 : 税抜) を開始し、2017年7月より月産10万個の体制で量産を行う予定です。生産拠点は、前工程がラピスセミコンダクタ宮崎株式会社 (宮崎県)、後工程が ROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ) になります。
今後もラピスセミコンダクタは、多直列セル構成のリチウムイオン電池パックに向けた電池監視LSIで産業機器市場の高電圧電池監視システムのご要求にお応えしていきます。
背 景
市場の拡大が著しい中国では、電動自転車の販売台数が3,000万台 / 年※2以上、このうちリチウムイオン電池を使用する電動自転車の販売台数は約270万台 / 年※2と言われており、新興国も含めると今後も成長が期待されています。
一方、リチウムイオン電池の使用例で最も普及しているスマートフォンでは、電池パックの発火や過熱等の問題が発生しており、電動自転車などのリチウムイオン電池パックでもより高い安全性が求められるようになりました。
この対応として従来は、電池監視LSIに周辺回路を付加する形で電池パックの安全を確保していましたが、ML5245はこれらの周辺回路機能を取り込むことでシステムの小型化・高信頼化を実現し、電池パックの安全性をさらに高めます。
※2 : 中国国家工信部网站及消费品工业司、およびCBA (中国自転車協会) の資料より当社推定
新商品の特長
1.リチウムイオン電池パックの開発を容易にするスタンドアロンタイプ
- 「ML5245」は、マイコン制御が不要なスタンドアロンタイプのため、マイコンのプログラム開発を不要にし、電池パックの開発を容易にできるため、お客様製品の開発期間短縮に貢献します。
2.リチウムイオン電池パックの安全性を向上する機能を搭載
- 従来の電池監視LSIが保有している各セルの過充電 / 過放電、充放電過電流、ショート電流の検出機能に加え、電池パックの安全性を高める以下の機能を搭載しました。これにより、電池パックを構成する周辺回路や部品点数を削減し、小型化・信頼性化を実現します。
セルモジュールに設置された温度センサからモジュール内の温度を直接検出し高温 / 低温状態を監視保護する機能を搭載しました。これらの検出機能は、マイコンによる制御無しで、充放電用FETのON / OFFを制御することが可能です。
電動自転車などでは30A ~ 50Aを超える大電流が電池パック内に流れることがあるため、充放電用 FETのボディーダイオード注1の過熱対策に、FETの複数並列接続 (放熱対策用 FET)を実施しており、実装面積、コストが増大するという課題がありました。「ML5245」は充放電用 FETのボディーダイオードに一定量以上の電流が流れるとFETがONする機能を内蔵することで過熱を防止し、放熱対策用FETを不要にします。
リチウムイオン電池パック以外のシステムに異常が発生した場合、電池パックを安全に停止する必要があります。これに対し、外部マイコンなどから信号入力させ、放電制御用 FETを強制的にOFFさせる機能を追加しました。
「ML5245」は各セルの電圧を出力する機能を搭載しています。例えば外部マイコンを活用して本LSIからの各セルの出力電圧値を利用し、電池パックの残量の算出や、各セルの寿命の予測が可能となります。
3.パワーダウン時の低消費電流
- 「ML5245」は当社の他の電池監視LSIと同様にパワーダウン時の消費電流で業界最小の0.1µA (Typ.) を実現しています。これにより、電池パック保管時の電流損失を最低限にとどめ、長期間の電池パック保管が可能となります。
【用語解説】
- 注1 : ボディ―ダイオード
- MOS-FETのソース-ドレイン間に生成される寄生ダイオードのこと。N-MOSの場合はソースからドレインに、P-MOSではその逆方向に電流が流れるように生成される
仕様
項目 | ML5245 仕様 |
---|---|
対応セル数 | 最大13直列セル |
過充電 / 過放電検出精度 | 過充電検出電圧精度 ±15mV (25°C) 過放電検出電圧精度 ±50mV (25°C) |
放電過電流 / 充電過電流検出精度 | 放電過電流検出精度 ±10mV (25°C) 充電過電流検出精度 ±10mV (25°C) |
ショート電流検出精度 | ±15mV (25°C) |
温度検出機能 | 放電禁止温度 70°C以上 充電禁止温度 50°C以上、-5°C以下 |
検出電圧、検出遅延時間の設定 | 電圧検出遅延時間とショート電流検出遅延時間は外部容量で設定、その他はマスクオプション |
電圧モニタ機能 | 各セル電圧の1/2をVMON端子に出力 |
NMOS FET過熱防止機能 | FETボディーダイオードに流れる充放電電流による過熱を防止 |
放電FETの強制OFF機能 | DOFF端子入力により放電FETを強制的にOFF |
消費電流 | 通常動作時 : 25µA (Typ.値) パワーダウン時 0.1µA (Typ.値) |
動作電源電圧 | +7 ~ +80V |
動作温度 | -40 ~ +85°C |
パッケージ | 30ピン SSOP (9.4mm × 7.6mm) |
販売計画・応用分野
- サンプル出荷時期 : 2017年4月から
- サンプル価格 (参考) : 800円 (税別)
- 量産出荷予定 : 2017年7月から
- 評価ボード : 2017年7月から
- 応用分野 : 電動自転車等のLEV、ガーデニング用工具
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