2014年2月27日
業界初、衛星放送受信アンテナ用4入力4出力スイッチマトリクスICを開発
衛星放送受信機の高性能化、小型化に貢献、基板設計を容易に
ラピスセミコンダクタは、衛星放送受信アンテナ向け4入力4出力スイッチマトリクスIC「ML7405」を開発しました。
本ICは、業界初※の衛星放送受信アンテナ用4入力4出力スイッチマトリクスICで、従来4入力2出力スイッチICを2個並列接続していた ユニバーサルクアッド注2 衛星放送受信回路を1個のICで実現します。
本ICを使用することで衛星放送受信器の小型化、高性能化が可能となり、衛星放送受信アンテナの普及拡大に貢献します。
なお、本商品は、既にサンプル出荷中で、2014月2月から量産出荷を開始しました。
【用語解説】
- 注1:衛星放送受信回路
LNB(Low Noise Block)とも呼ばれる。 - 注2:ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナ
周波数、偏波面の異なる4種類の放送を受信する衛星放送受信器。 欧州、南米で利用され、今後放送衛星が打ち上げられるインド、アフリカ等で普及していくとみられる。地上波のような放送設備が必要無いため、従来受信が困難だった地域でも多くのTV視聴を楽しむことができる。
欧州、南米等の地域では、周波数、偏波の異なる4種類の衛星放送を1台で受信するユニバーサルモデルと呼ばれる衛星放送受信アンテナが一般的に使用されています。ユニバーサルモデルには出力数が1、2、4出力のものがありますが、4種類の衛星放送を全て同時に受信、録画するためには4出力以上の衛星放送受信アンテナが必要となるため、4出力のユニバーサルモデルの需要が高まっています。このユニバーサルモデルは、ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナと呼ばれており、今後放送衛星が打ち上げられる北米、インド、中東、アフリカ地域でも普及が進むと見込まれています。
従来、衛星放送受信アンテナに使用されるスイッチICには、4入力2出力のものしか無く、ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナの4出力に対応するために、4入力2出力スイッチICを2個並列に接続していました。高周波回路では、部品配置、部品間の配線により特性が大きく左右されますが、従来の4入力2出力スイッチICを2個配置すると、基板上でIC間を結ぶ配線間のラインが長くなり、配線を流れる信号の損失が大きくなるとともに、配線間の結合による信号の クロストーク注3 が問題となっていました。信号の損失とクロストークを回避するための基板設計、部品実装の困難さが、ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナの普及の妨げとなっていました。
【用語解説】
- 注3:クロストーク
不要な信号の漏洩。高周波では素子間、配線間の電磁界的な結合により本来の信号とは異なる不要な信号の漏洩が大きくなる。
- 業界初の衛星放送アンテナ用4入力4出力スイッチマトリクスIC
- ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナのスイッチ回路を1つのICで実現できます。4入力2出力スイッチICを2個使用する場合に発生する配線の損失、配線間のクロストークが起こらず、ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナを容易に設計、製造することができます。
また、4入力2出力スイッチICを2個使用した場合と比較して、実装面積を60%削減することができます。
- ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナのスイッチ回路を1つのICで実現できます。4入力2出力スイッチICを2個使用する場合に発生する配線の損失、配線間のクロストークが起こらず、ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナを容易に設計、製造することができます。
- 4入力2出力スイッチICと同等以上の低クロストークを実現
- 衛星放送受信用に必要とされる周波数帯域は950 MHz~2150MHzと広く、4入力4出力スイッチを1チップ化する場合には、IC内部での素子間、配線間のクロストークが大きくなるため、その低減が大きな課題でした。本ICでは、当社独自の回路設計とレイアウトの最適化により25dBのアイソレーションを確保し、従来の4入力2出力スイッチICと同等以上の低クロストークを実現しました。
- 完全なインピーダンスマッチング
- 高周波回路では入出力の素子間にインピーダンスのミスマッチが生じると反射による損失、不要な電波の放出などの障害が発生します。高周波回路では一般的に入出力インピーダンス50Ωで設計されており、従来の4入力2出力スイッチを2個並列に配置した回路ではインピーダンスが半分の25Ωになりミスマッチが生じます。そのため、基板設計上の配慮が必要となりますが、本IC1個で使用する場合には、常にインピーダンスが50Ωになりミスマッチが生じず、基板設計が容易になります。
仕様
- ユニバーサルクアッド衛星放送受信アンテナのIF信号切替を1チップで実現
- ラピスセミコンダクタオリジナル高周波回路設計技術による低損失、低クロストーク
- 低消費電力
- パッケージ : 32pin WQFN
応用分野
- 衛星放送受信アンテナ
- 高周波信号切替スイッチ
販売計画
- 商品名
- ML7405
- サンプル出荷時期
- サンプル出荷中
- 量産出荷予定
- 2014年2月より
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