2013年5月09日
欧州スマートメータ向けWireless M-bus規格対応の無線通信LSIを開発
ラピスセミコンダクタは、868MHzの欧州スマートメータ通信規格 Wireless M-Bus 注1対応の無線通信LSI「 ML7406 」を開発しました。Wireless M-bus 規格で必要になるモード別の信号処理機能を標準搭載したことによりマイコン負荷を約2割軽減し、機器全体の消費電力軽減に成功。電池で駆動するスマートメータの長期間駆動やメンテナンス軽減にも大きく貢献します。
また、ラピスセミコンダクタでは、既に169MHz(N-Mode)と433MHz ( F-Mode ) のWireless M-bus規格向け「 ML7344E 」を開発しています。今回の868MHz対応「 ML7406 」の開発により、Wireless M-bus全帯域の商品ラインアップが揃い、欧州各国のスマートメータへの対応が可能になりました。
「 ML7406 」は、750MHz~960MHzの周波数帯域をサポートしており、日本国内の ARIB STD-T108注2規格の他、世界規格の IEEE802.15.4g にも準拠するため、世界主要各国のスマートメータやエネルギーマネージメントシステム(EMS)など幅広い分野に応用できます。
なお、本製品は、4月より既にサンプル出荷を開始しており、9月より量産出荷を開始する予定です。生産拠点は前工程がラピスセミコンダクタ宮城(宮城県)、後工程がラピスセミコンダクタ宮崎(宮崎県)となっております。
【用語解説】
- 注 1:Wireless M-bus
- 欧州のCommunication systems for meters and remote reading Part4: Wireless meterの規格。868MHzで動作する T、C、Sモード、433MHzで動作するFモード、169MHzで動作するNモードがある。
- T-Mode (Frequent Transmit mode)
電気メータのように頻繁にデータ転送が必要なシステム向けのモード。 - C-Mode (Compact mode)
ガス、水道メータのようなバッテリ駆動に最適化したモード。
- T-Mode (Frequent Transmit mode)
- 欧州のCommunication systems for meters and remote reading Part4: Wireless meterの規格。868MHzで動作する T、C、Sモード、433MHzで動作するFモード、169MHzで動作するNモードがある。
- 注 2:ARIB STD-T108
- 日本の920MHz帯域のテレメータ、テレコントロール用およびデータ伝送用無線設備の規格。
昨今、各国でスマートメータへの取り組みが始まっておりますが、欧州では、Wireless M-bus方式がデータ通信方式の主流になるとみられています。ドイツおよび周辺国で普及が見込まれる868MHz帯域のWireless M-busには、3つのモードが存在しており、運用形態により、モード別に信号を判別する必要があります。従来は、モード、メッセージを判別するためのパケット処理をマイコン側のソフトウェアで処理するのが一般的で、マイコンに非常に高い負荷がかかり、消費電力増加の原因となっていました。
ラピスセミコンダクタは、Wireless M-bus上で動作する OMS ( Open Metering System ) 注3 プロトコル策定の主要メンバーであり、かつ同プロトコルの大手ベンダーである Steinbeis社と共同で、パケット処理ハード化のための仕様開発を行うことで、本LSIに Wireless M-bus パケットハンドラを搭載。Wireless M-busパケットハンドラは、CモードとTモード相互運用のための同時待ち受け機能やCモードのFormat-AとFormat-Bメッセージの自動判別機能、および自機宛てパケットか他機宛てかを自動判定するアドレスフィルタ機能などをハードウェアで処理することができます。これにより、従来のソフトウェア処理のシステムに比べ、マイコン稼働率を約2割低減させることができ、機器の消費電力削減に大きく貢献します。
なお、Wireless M-bus用のプロトコルスタックにおいて、EN13757-4:2011準拠のTモード、Cモード、Sモード機能をすべて盛り込んだサンプルソフトおよびCソースコードが提供できます。 また、OMS方式のメータ製品にそのまま使用できる業界標準のOMS準拠プロトコルスタック、および Wireless M-busプロトコル解析ソフトもSteinbeis社よりライセンス可能です。
【用語解説】
- 注 3:OMS ( Open Metering System )
- ドイツのメータ業界で規格化されたWireless M-bus上で動作するメータシステムのプロトコルの規格。
特長
- ●Wireless M-busパケットハンドラ
- ・Tモード、Cモード、Sモードをサポート。
・CモードのFormat-A、Format-Bの自動判別機能を搭載。
・CモードとTモードの自動判別機能を搭載。
・各モードに対応したCRCデータの演算および挿入を自動実行。
・12%のデータレート偏差に対応し従来のTモードと接続可能。 - ●汎用パケットハンドラ
- レジスタ設定により、IEEE 802.15.4g注4 パケットハンドラとして機能できます。
- ●自動Wake Up、自動スリープ機能、高速電波チェック機能
- 32kHzの内蔵RC発振または外部クロック入力を用いて内蔵タイマーを制御することで、マイコンからの命令なしに、LSIをスリープモードから受信モード、もしくは送信モードで動かし、再びスリープモードに戻るような周期的な動作を繰り返す事が可能です。高速電波チェック機能と組み合わせることで、定期的に最短時間で電波有無を検出し、電波なしと判断した場合にはスリープに戻すことが可能です。
- ●多種のスリープモード
- ML7406では5種類のスリープモード(ディープスリープモード含む)を搭載。システム構成、必要性に応じて、より適したスリープモードを選択できます。
【用語解説】
- 注 4:IEEE 802.15.4g
- 米国の標準化団体IEEEで規格化されたスマート・ユーティリティ・ネットワーク向けの無線規格。
応用分野
- 日本国内 スマートメータ、HEMS / BEMS / FEMS 注5システム
- 欧州 スマートメータ(Wireless M-bus Tモード、Cモード、Sモード装置)
【用語解説】
- 注 5:HEMS / BEMS / FEMS
- エネルギー・マネージメント・システムの形態。Hはホーム(家屋)、Bはビルディング、Fはファクトリー(工場)を意味する。
販売計画
- ●商品名
- ML7406
- ●梱包形態
- テープ&リール 1000個
- ●サンプル出荷時期
- 2013年4月
- ●サンプル価格
- 500円(税別)
- ●評価ボード(単体)
- 2013年4月 (受注後2ヶ月)
- ●量産出荷予定
- 2013年9月より
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