高音質音声圧縮再生技術で未来のモビリティを支える

自動車向け音声LSI
開発プロジェクト

自動車には、さまざまな警告音や音声ガイダンスを発する装備や機器が搭載されています。近年では自動ブレーキなど先進運転支援システムの普及により、音声LSIに対する新たなニーズが生まれています。このプロジェクトでは、このようなお客様のニーズに応える自動車向け音声LSIを開発しました。

PROJECT MEMBER

車載マイコン開発チーム

マイコン開発エンジニア

1998年入社

自動車の高機能化に伴い
多種類・大容量の音声データに対応できる音声LSIを

「音声LSI」の機能とは

音声LSIとは、「ピッ!」「ブー!」といった簡単なビープ音からメロディーや擬音、人の音声発話など多種多様な音や音声を発する機能を持つLSIです。
自動車では、バックする時やライトを消し忘れた時、シートベルトを締め忘れた時の警告音、ETCのカード認識や料金案内などの音声ガイダンスなど、すでに多くの用途で使われています。


開発の背景

近年、自動ブレーキなどの先進運転支援システムの普及により、ドライバーへの注意喚起としてさまざまな警告音が鳴るようになりました。車の乗降時にリッチなウエルカムサウンドを鳴らしたり、電子化により無音となってしまったウインカーリレーのカチカチ音やエンジン音を疑似的に発生させることなど、音の用途と種類が大幅に増え、音声データのサイズも大きくなっています。
音や音声を電子的に発するには、CPUでソフトウエア再生する方式と、専用ICでハードウエア再生する方式があります。CPUでソフトウエア再生する方式では自動車の高機能化によりCPUの動作負荷が増加する上に、音声データも大きくなります。そのため音声再生時に音切れや遅延が発生するという問題が起こるようになりました。
その対策として、音声処理を専用の音声LSIに任せてCPU負荷を軽減する方法が採用され始めています。従来品より大容量で多種多様な音声データを扱うことができ、近年の厳しい安全要求に対応できる新たな車載向け音声LSIの開発が必要になりました。


高圧縮率と高音質を実現する新しい音声圧縮技術

開発に必要だったこと

自動車の高機能化に伴い発生する音の種類が増えてきました。
まずデータ容量を縮小するために、高い圧縮率と高音質を両立する新しい音声圧縮技術が必要になりました。それをできるだけコンパクトにハードウェア(LSI)に実装することが求められます。
内蔵メモリに関しては実装する容量を増加させました。さらに高級な車種では内蔵メモリだけでは足りないお客様もいるため、大容量の外付けROM を使うことができるインタフェース仕様の開発が必要になりました。
また、従来はほとんど要求がなかったフェールセーフ機能に対する強い要望がありました。フェールセーフ機能とは、機器やシステムの誤操作・誤動作による障害が発生した場合に、常に安全側に制御する機能のことで、自動運転などを見越した安全対策のひとつです。
マーケティング部門と開発部門が協力して、お客様に詳細なヒアリングを行うことでわかったことです。

開発について

高圧縮率と高音質を両立する新しい音声圧縮技術は、大学と共同で開発しました。ラピスセミコンダクタは以前から産学連携を図っているので、共同開発はスムーズに進みました。LSIの開発に関しては、チームが一体となり、必要になった新しい機能を実現するために、さまざまな工夫と取り組みを行い、新商品としてリリースすることができました。

お客様に良い音を届ける

高音質とは

「高音質」とひとことで言っても、人によって音の感じ方や好みが異なるので扱いが難しいのですが、非常に重要なポイントです。特に自動車用の音声は、直感的に事態の緊急性や重要性をドライバーに知らせる大切な役割を担っています。そのためには最適化が必要で、これをチューニングと呼んでいます。ラピスセミコンダクタの音声LSIは、前身の沖電気工業時代を含めると約30年の歴史があり、豊富な車載実績と音づくりのノウハウを持っています。蓄積している音声データから周波数の広いものを提案したり、イメージにあった音を提案するなど、実際に自動車メーカーと一緒にチューニングを行い商品化しています。

音声LSIの開発に必要な知識やスキル

ラピスセミコンダクタの音声LSI 開発は作って売るだけではなく、お客様に良い音をお届けすることが仕事です。そのためには、信号処理による音響補正といったデジタル回路の知識や、DAC(デジタル-アナログ変換)、アンプといったアナログ回路の知識、音声データの解析技術などが必要です。
さらに、お客様の基板におけるノイズ等の解析を行い、問題を解決するための技術も必要になります。音声LSIの開発に携わることで、幅広い周辺技術を身につけることができます。

今回開発した音声LSIの現状は

既存の車種にすでに搭載されている音声LSIがあります。 もしかしたら、皆さんの耳にラピスセミコンダクタの音が届いているかも知れません。現在も多くの引き合いをいただいています。
今後も多くの自動車に搭載いただき、未来のモビリティに貢献していきたいと考えています。