ラピスReports 2015
「ソリューション事業の促進とIoTへの注力」2015年度新戦略のもとに、無線、MCU、新規事業に関する展示を展開 後編
IoT/ワイヤレスM2M市場に、ラピスの保有技術と強みをもって注力する
新規事業開拓プロジェクトは、2013年度の事業拡大戦略の1つとして、今後、ラピスが取り組むべき新規の事業を決定し、先行的な活動を行う目的でスタートした。現在、さまざまな新市場、新技術に対する案件を持ち、有望な案件のビジネス化を目標としている。
また、大学や研究機関、ベンチャー企業を含めたあらゆるチャネルを通じて、IoTの新規案件の発掘を行っており、同時にセットメーカーやサービスプロバイダーを含め、IoTビジネスの協業およびパートナーを増やして行く活動をしている。
ラピスセミコンダクタ
LazuriteによるIoTへの取り組み
エンジニアプレゼンテーション
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今回、展示されたのは、Arduino互換のマイコンボードで、ラピスのIoTプラットフォームおよびリファレンスデザインである「Lazurite」シリーズと、世界初*となるリアルタイム土壌モニタリングを可能にする「IoT土壌環境センサ」である。また、Lazuriteに関しては応用例として、超小型軽量化したマイコンボードLazurite Flyを使用した折り鶴飛行体「ORIZURU」の飛行デモンストレーションも実施された。*2015年10月ラピスセミコンダクタ調べ
「Lazurite Fly」が実現する
折り鶴飛行体
飛行デモンストレーション
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短期間にアイデアを実現するIoTマイコンボード【Lazuriteシリーズ】
Lazuriteは、簡単に使えることからメーカーズなどに普及しているマイコンボードArduino互換のマイコンボードシリーズである。ラピスの超低消費16ビットMCUを搭載したことで、Arduinoの消費電力を大幅に低減し、業界最小の消費電力を実現しており、実用的なプロトタイプを作ることができる。
現在、シリーズにはマイコンボード「Lazurite Basic」、Lazurite Basicにローム製920MHz帯無線通信モジュールBP3596Aをセットした「Lazurite Sub-GHz」、インターネット接続のゲートウェイ「Lazurite Pi Gateway」がラインアップされている。PCと接続するだけでLazurite IDEを利用してすぐに開発を始められ、電波認証取得済無線モジュールとゲートウェイが用意されているので簡単にIoTを構築できる。
また、Lazuriteは、ラピスのIoTプラットフォームとして、様々な技術やアイデアを製品開発に結び付けるオープンイノベーションのリファレンスデザインでもある。
IoT土壌環境センサが地中のデジタル化、見える化を実現【土壌環境センサ】
この土壌環境センサは、IT農業や社会インフラ監視などのIoTソリューションとして開発され、酸性度(pH値)、水分量、温度の3つのセンサをワンチップ化したもの。地中に埋め込み可能で、例えばLazurite Sub-GHzなどと組み合わせることで、土壌環境をリアルタイムでモニタ可能なIoTとすることができる。実証実験を開始しており、農産物の生産性向上や、土砂災害の予測など防災への利用により、今までより精度が高く迅速な対処に結び付くことが期待できる。
当開発は静岡大学などと共同で行ったもので、従来の半導体の応用先とは異なる農業や土木、建築など異分野の多くの大学や研究機関と協力し、技術改良を行い、今回の発表、展示に至っている。
今回の展示は、本レポートが示すように、ラピスの2015年度の新戦略「ソリューション事業の促進とIoTへの注力」を具体的に理解できることを強く意図していることが感じられた。ハードウェアは単機能LSIからシステムLSI、そしてモジュール、ソリューションへと発展し、ソフトウェアのサポートも用意されている。今後、IoT化のために必要な無線、MCU、センサの融合への結びつきが随所に見られた。
イベントとして非常に多くの観客を集めていたのが、Lazuriteアプリケーションの折り鶴飛行体「ORIZURU」の飛行デモンストレーションであった。この「ORIZURU」は、CEATEC AWARD 準グランプリおよび米国メディアパネル・イノベーションアワード Electronic Components分野の部門賞を受賞した。Lazuriteは、ラピスのIoTプラットフォームとして、今後もオープンイノベーションのリファレンスデザインとして期待できる。
なお、同様の展示を、2015年11月18日(水)~20日(金)に開催される「Embedded Technology 2015/組込み総合技術展」にても実施される予定である。この機会に是非ともローム/ラピスセミコンダクタのブースを訪問して、本レポートを参考に展示をご覧いただければと思う。
取材:高橋 和渡 / fプロジェクト・コンサルティング