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LSI事業戦略 2015 新規事業開拓プロジェクト


ラピスらしい新規事業とは何か?IoTプラットホーム、リファレンスデザイン、産官学連携により斬新なアイデアを形にする

Part.4 前編 新規事業開拓 プロジェクトリーダー 弥永 修

ラピスセミコンダクタでは、2013年度から新規事業開拓のためのプロジェクトが稼働している。本年2015年で3年目に入り、すでに具体化し商品の販売に進んだ案件も存在する。

2015年度の新戦略であるソリューション事業とIoTへの注力に関しても、このプロジェクトが重要な役割を果たしており、その活動と現状での成果を、新規事業開拓プロジェクトのリーダーである弥永 修(やなが おさむ)氏に聞いた。

ラピスが取り組むべき新規事業を決定し開拓を行う、2013年度事業拡大戦略の一環としてスタート

-最初に、新規事業開拓プロジェクトを発足させた目的を伺いたい。

弥永 修
新規事業開拓プロジェクト
プロジェクトリーダー

弥永 新規事業開拓プロジェクトリーダー(以下敬称略):2013年度の事業拡大戦略の1つとして、今後、ラピスセミコンダクタ(以下ラピス)が取り組むべき新規の事業を決定し、先行的な活動を行う目的でスタートしました。

当時、社長から「ラピスらしい新規事業とは何か」という課題を与えられ、あらためて市場およびシーズ調査から始めました。

結論は、IoT / ワイヤレスM2M市場に対して、ラピスの保有技術と強みをもって注力すること

-これまでにどのような活動をしてきたのか?

弥永:2013年度の開始から、約3か月かけて市場とシーズの調査を行いました。これは、今後、ラピスがどういった市場に注力すべきか、そして、どういった市場に向けて新規商品を開発していくのかを決定することが目的でした。

特別な手法を取ったわけではありませんし、今まで調べたことがなかったわけではありませんが、新規事業の方向性を決めるという非常に重要な判断には、あらためて最新の精度の高い情報と状況把握が必須でした。

調査の結果、ラピスのシーズ、つまり強みである技術やノウハウは、「超低消費電力のMCU技術」、そして「低消費電力で高感度高性能な無線技術」、加えてロームグループの「センサ技術」が代表的なものであることを再認識しました。

市場動向に関しては、単純に申し上げれば、あらゆることに「省エネ」、「効率化」、「安心/安全」、「質の向上」が要求されています。これらの結果を分析し検討を重ねた結果、「IoT / ワイヤレスM2M市場に対して、ラピスの保有技術と強みをもって注力する」という結論をだしました。

ご存じの通りIoTは新しい市場で、その概念に対して商品の具体化は始まったばかりです。さらに、今まで考えもしなかった商品やサービスがどんどん生まれています。

IoTのセンサノードを考えてみると、低消費で優れたMCUと無線、そしてセンサは必須アイテムなのです。それが、ラピスの保有技術とぴったり一致します。

-2015年度の新戦略に「ソリューション事業の促進とIoTへの注力」が挙がっているが、この2013年の時点での決定と関係するのか?

弥永:この決定は2013年の中ごろに出しましたが、その後の活動を経て2015年度に新戦略として明示されました。「ソリューション事業」も同様で、拡大戦略を遂行するにあたり、市場のニーズは単機能の汎用LSIだけではなく、高集積化やモジュール化、ソフトウェアも含めたパッケージ化などのソリューションであることは理解していました。

また、「ラピスのコア技術が生きる市場へのアプローチ」の観点からも自然発生的であり、実際いくつものソリューション商品の開発が行われていました。こういった流れと動きの中で、次のステップとして2015年度開始のタイミングで、正式な事業戦略としてソリューションとIoTに注力することを挙げました。

Lazurite(注1)はIoTや電子工作向けのリファレンスデザインシリーズの1つ
さまざまなリファレンスデザインでマーケティングを進める

(注1)Lazurite:ラピスセミコンダクタが提供する誰でも簡単に電子工作やIoTのプロトタイプが作れる、
マイコンボード・周辺モジュール・開発環境などを含めたリファレンスデザインシリーズです。

-IoTへの注力を決定した後、他に行ったことは?

弥永:最初に行ったのは、決定直後の2013年の半ばからNFCとRF-IDの市場とシーズ調査を開始しました。これらの無線規格については、今後IoTで必須の無線機能であるため、検討を実施し、その後、NFCフォーラム活動を経て、2013年末にはNFCとRF-IDの開発を行うことを決定しました。現在開発中で、言わば当プロジェクトからは卒業しました。

他のプロジェクトとしては、「IoTプラットホームおよびリファレンスデザインの検討と開発」、そして、これらを用いた「マーケティング活動」、「ヘルスケアおよび環境市場の調査および検討と開発」などがあり、これらは現在も継続事項として進めています。

-それでは、個別にプロジェクトの内容を伺いたい。「IoTプラットホーム」とは?

弥永:これは2014年度から基本構想の検討に入り、開発を経て、実は6月に「 Lazurite Basic 」(ラズライトベーシック)と命名した、Arduino(アルドゥイーノ)互換のマイコンボードの販売を開始しました。

さらに7月には、Lazurite Basicに920MHz帯の無線通信機能を搭載した、「 Lazurite Sub-GHz 」(ラズライトサブギガヘルツ)を追加しました。

ちなみに、Lazurite(ラズライト)という名前は、ラピスセミコンダクタの社名の由来となった宝石ラピスラズリの主成分である鉱物、Lazurite(青金石:せいきんせき)から取りました。このLazuriteは、社外の技術やアイデアを取り入れて製品開発に結び付けるオープンイノベーションのためのリファレンスデザインシリーズです。

※ArudinoはArduino S.R.L.の商標または登録商標です。

-ラピスのIoTプラットホームが互換マイコンボードである理由は?

近年、メーカーズと呼ばれる、デジタルファイルやCAD、3Dプリンタを用いて、夢やアイデアを形にするという製造業が急増しており、簡単かつ低価格で開発を始められるArduinoや Raspberry Piといったマイコンボードが普及しています。

その利便性から、IoTにおいても多方面でそれらを使ったプロトタイプが開発されています。また、そのそれらのマイコンボードに接続することで、無線機能やセンサ機能を追加できるシールドと呼ぶボードも多数用意されています。

ただし、Arduino をIoTで実際に使用する場合、いくつかの課題があることがわかりました。これは、関連するアライアンス活動によって情報を得ました。Arduinoはけっこう消費電流が大きく、動作時そして待機時ともに20mA以上を消費します。

これは、バッテリ駆動などの低消費電力システムには大問題で、Arduinoベースでバッテリ駆動機器を商品化した場合、動作時間が短いことが課題だという声を多く聞きました。また、無線機能がないためシールドと組み合わせて使う必要もあります。

これに対して、ラピスはラピスオリジナルの低消費電力16ビットMCU、ML620Q504を搭載したArduino互換ボード Lazurite Basic を開発しました。Lazurite Basicは、動作時の消費電流を約半分の10mAに、待機時消費電流は1/10の2mAに低減しました。

さらに、Lazurite Sub-GHzには920MHz帯の無線通信機能を搭載したことで、開発だけではなく商品化にも実用的なプラットホームを提供することができました。Arduinoと高い互換性があるので容易に置き換えが可能で、ソフトウェア開発環境Lazurite IDEを無償提供しています。もちろんハードウェア、ソフトウェアともにオープンソースで、各種ドキュメント、回路図、基板レイアウトをホームページ上で公開しており、リファレンスデザインとして利用できます。

さらに、ネット通販で1個から買えるようにして、誰もが容易に入手できる体制を整えています。

-次の、「マーケティング活動」とはどんな活動か?

弥永:新しいLazuriteや既存のリファレンスデザインをもって、市場開拓を行っています。リファレンスデザインとは、ハードウェア、回路、基板レイアウト、ソフトウェアを含んで、それをご使用頂くことにより、その機能と性能が得られるものです。

例えば、先ほど紹介したLazurite Sub-GHzは、IoTにおいて920GHz帯無線機能を搭載したセンサノードを構築するためのリファレンスデザインとして利用できます。現在、無線方式別のリファレンスデザインを拡充しており、Bluetooth® SMARTを搭載したLazuriteも検討しております。

また、Lazurite Sub-GHzを使ったセンサノードの中継機を構築するためのLazurite Pi Gatewayも開発しています。こういったリファレンスデザインを利用することで、無線機能を実装する技術や知識がなくても簡単に無線機能を搭載でき、様々な機器をIoT機器にすることができます。

既存のリファレンスデザインによるマーケティングとしては、ML7105というBluetooth® SMART用のLSIに関するものがあります。一例ですが、ビーコンアプリケーションのデモ機に、ML7105の評価ボードが活用されました。

また、ML7105でBluetooth® SMARTを簡単に評価し使ってもらうためのプラットホームとして、Arduino向けのBLE Shieldを開発しています。

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