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LSI事業戦略 2015


 

Part.6 前編 電池監視LSI 開発プロジェクトリーダー 大家 充也

ラピスセミコンダクタには、「電池監視LSI開発」という部署が存在する。部署名から想像できる通り、電池の充放電制御、監視、保護を行うLSIを中心に開発を行っている。近年の電池の役割は非常に幅広く、スマートフォンやタブレットに代表される携帯機器から、スマートグリッドなどエネルギーマネジメント、そしてハイブリッドや電気自動車においても重要な蓄電デバイスである。
この急速に拡大するエネルギー問題の観点からも重要な市場をターゲットにした商品開発を行っている、LSI商品開発本部 電池監視LSI開発プロジェクトのリーダーである大家 充也(おおいえ みつや)氏に、商品の特長と戦略を聞いた。
ラピスの高耐圧デジ・アナ混載技術と低消費電力化技術が生きる、車載・産業用途を中心にしたリチウムイオン二次電池用監視LSIに注力

-部署名が特定用途のLSIを連想させるが、開発している商品分野を教えてほしい。

大家 充也
ラピスセミコンダクタ株式会社
LSI商品開発本部
電池監視LSI 開発プロジェクト
プロジェクトリーダー

大家プロジェクト リーダー(以下敬称略):まったく部署名の通りで、現在のところ基本的にはリチウムイオン二次電池用の充放電制御、監視、保護を行うLSIの開発を行っています。

-二次電池と聞くと、すぐにハイブリッド(HEV)や電気自動車(EV)を思い浮かべてしまうのだが。

大家:もちろん、HEV/EVはラピスセミコンダクタ(以下ラピス)のターゲット市場の1つとして視野に入れていますが、電動アシスト自転車や自走可能な電動自転車、電動工具、太陽光発電システムなどの蓄電用といった、産業用を主なターゲット市場にしています。

電池セル数で言うと、おおよそ5~200セル、電圧では18V~720Vくらいのアプリケーションになります。したがって、セル数の少ないスマートフォンやノートPC、デジタルカメラといった民生用携帯機器市場は、現在のところカバーしておりません。

-産業用途にフォーカスしている理由は?

大家:2つほど理由があります。
1つ目の理由は、明らかに電池の産業用市場が拡大傾向にあることです。民生携帯機器に比べ大きな電力が必要な産業アプリケーションでは、従来の鉛蓄電池やニッケル水素電池から、電力密度(サイズ対エネルギー)や性能面で優位なリチウムイオン二次電池への置き換えが進んでいます。

また、サイズや重量との兼ね合いで、リチウムイオン二次電池の採用により成立したアプリケーションもあります。これらの需要増は現実的なものであり、今後も続くと考えられます。

2つ目は、ラピスのコアテクノロジである、高耐圧のデジ・アナ混載技術と低消費電力化技術が大きく貢献できる市場だからです。

これらのアプリケーションでは、長時間動作や大きな動力を得るために、電池の高密度化と大容量化が求められています。これに対して、電池セル単体の性能向上はもちろんですが、バッテリスタックとも呼ばれる複数の電池セルを直列に接続した電池パックを組み合わせて高電力を得る方法が使われています。単純で簡単な方法ですが、直列接続数が多くなると電圧が高くなるため、高電圧を扱える電池監視LSIが必要になります。

また、直列接続したリチウムイオン二次電池は、1個1個をモニタし充放電制御する必要があるため、非常に高精度な計測ができるアナログフロントエンドが必要です。さらに、電池が電源ですので、可能な限り低消費電力でなければなりません。こういった課題の解決は、ラピスが最も得意とするところです。

電動工具向け5セル対応から蓄電システム向け16セル対応まですでに国内外での実績をもち、商品ラインアップを拡充中

-多セルのリチウムイオン二次電池監視LSIは比較的新しい商品分野だと思うが。

ラピスでは5、6年前から開発を始めましたが、すでに国内外の電池メーカを中心に、様々な分野で採用されています。

例を挙げると、10~13セル対応のML5235とML5208の2機種は海外の電動自転車に、新開発の16セル対応のML5238は海外の蓄電システムに、また、国内メーカ向けカスタム品が電動工具に使用されています。

-いくつか商品名がでてきたので、商品のラインアップを紹介いただきたい。

大家:基本機能構成に対し、対応セル数と追加搭載機能で機種が分かれています。市場が新しく、これからの分野でもあるので、他の商品群に比べ商品ラインアップは多くはありませんが、現在、積極的に新商品を追加し、ラインアップを拡充しているところです。

新商品のML5203は7セル対応で、電動工具の要求仕様をイメージした商品です。また、海外の蓄電システムに採用されたML5238は16セル対応の新商品で、蓄電システムの他、例示したような様々なアプリケーションで使用できます。

このような、機種品番のついた商品は汎用品の位置付けで、様々なアプリケーションに使えます。これとは別に、特定のお客様向けのカスタム品もあり、お客様のご要望に応じたソリューション提案を行っております。

80V高耐圧プロセスを採用し業界最多の直列16セルに対応、独自の回路方式による高精度と低消費電流を実現

-それでは、ラピスの電池監視LSIの詳細を伺いたい。機能構成と特長は?

大家:先に特長から説明します。
1番に挙げるのは、80Vの高耐圧プロセスを採用し、直列16セルに対応する点です。これは、業界最多になります。1個の電池監視LSIが対応できるセル数が多いと、システムに使用する電池監視LSIの数を減らすことができ、スペースやコスト削減が可能になります。

たとえば、50Vシステムにリチウムイオン二次電池を使う場合、基本的に13セルを直列接続することになります。この電池パックの電池監視LSIとして4セル対応のものだと4個必要になります。もちろん、ラピスの16セル対応品であれば1個で済みます。これが、HEVのような数百ボルトのシステムになると、コストとスペースに大きな差が生じることは、計算しなくてもお分かり頂けるかと思います。

別の例では、最近、安全面で注目されているリン酸鉄リチウムイオン電池は、公称電圧値がリチウムイオン二次電池より低いため、50Vシステムを例にとるとリチウムイオン二次電池が13セルに対して、リン酸鉄リチウムイオン電池は16セル必要になります。つまり、ラピスの16セル対応LSIは、リン酸鉄リチウムイオン電池の50Vシステムに対しても1個で対応できるということです。

2つ目は、ラピス独自の回路方式によってセル電圧の検出精度が高く、消費電流も非常に低く抑えてあることです。
セル電圧検出精度は±10mVを達成しています。この精度が高ければ高いほど、電池のエネルギーを最大限に利用でき、場合によってはスタックするセル数を減らすことも可能です。

また、電池パックの信頼性と寿命を向上させることができます。セル電圧検出精度は、電池監視LSIの性能を示す重要な項目の1つです。
消費電流に関しては、たとえば先ほど話に出た新商品の16セル対応ML5238は、LSI単体での動作時消費電流が50µAで、従来品に比べ1/3になっています。

3つ目として挙げるのは、セルバランススイッチ、電圧・電流モニタ、充放電制御用外付けFETを直接駆動するFETドライバ回路などを搭載しており、電池の安全を支えるための各種機能が組み込まれている点です。これは、外付け部品数を削減し、システムコストの低減に貢献します。
いずれも、ラピスのコアテクノロジが最大限に活用されています。

-では、機能構成に関して

大家:ラピスの電池監視LSIは、単独で電池パックの制御・保護ができるスタンドアロンタイプのLSIとアナログフロントエンドとコントローラで構成されるチップセットタイプの双方を取り揃えています。

搭載機能については具体的な商品を例にとって説明した方が分かりやすいと思うので、16セル対応のチップセットMK5238を例に説明させてください。
MK5238はアナログフロントエンドのML5238、コントローラのML610Q486Pの2つのLSIで構成され、「リチウムイオン二次電池5~16セルの充放電制御、電圧・電流モニタ、過充電過放電保護、セルバランス、充放電過電流検出、温度検出、バッテリ残量表示」といった機能を提供します。

アナログフロントエンドのML5238は、セルセレクタ+セルバランススイッチ、電圧レギュレータ、セル電圧モニタ、充放電電流モニタ、短絡検出器、FETドライバといった機能ブロックを搭載しており、制御ロジック部が受け取った命令に従い動作します。

コントローラのML610Q486PはSPIインタフェースでML5238の制御ロジック部との通信を行い、内蔵の12ビットADコンバータによりML5238からの電圧と電流のモニタ情報を取り込みます。ML610Q486Pにはサーミスタを8本まで接続可能で、温度による制御が可能です。

また、バッテリ残量表示用のLEDドライバ、ホストコントローラとの通信用にUARTを備えています。 電源電圧は7Vから80Vで、動作温度範囲は-40°C~85°Cです。
詳しくは、webサイトかリーフカタログをご覧いただければと思います。

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