業界トップクラスの高精度発振回路を搭載した8ビットマイコンを量産
単相ファンモータの回転バラツキ低減、静音化、小型化に貢献

ラピスセミコンダクタは、従来品に比べ発振精度を2倍に向上させた業界トップクラスの高精度発振回路を内蔵した8ビットマイコン「ML610Q101/ML610Q102」を開発しました。
本LSIは、ロームで培ったモータ制御技術をマイコンに展開した単相ファンモータの回転制御に最適なLSIとなっています。業界トップクラスの高精度発振回路によりファン回転数のバラツキを低減し、豊富なタイマを活用することで静音化を実現。ヒステリシス差動コンパレータの搭載によりホール素子が使用可能なため、コスト低減にも貢献します。また、16ピンの小型パッケージを採用することで小型ファンへの搭載も可能です。
さらに、高いノイズ耐性 (IEC61000-4-2ノイズテストにて±30KVクリア^注1 )で、産業機器などノイズ環境の厳しい用途にも安心してご使用いただけます。

なお、本商品は、既に5月よりサンプル出荷を開始しており、9月から量産出荷を開始する予定です。生産拠点はラピスセミコンダクタ宮城（宮城県）となります。

近年、電子機器の小型化が進み、PCやサーバなどの機器では、冷却用ファンモータも小型化が求められています。また、大量データを処理するCPUサーバでは、発熱が大きいため冷却ファンが複数台内蔵されており、それぞれのファンの回転数にバラツキがあると、ファンから発生する風切音の周波数の違いでうなり音が発生したり、モータコイルの電流制御において、オン・オフの電流変動が大きいと耳障りな電磁音を発生するというような課題がありました。これらの課題を解決するため、高精度な回転制御と小型化を実現するマイコンが求められておりました。

今回ラピスセミコンダクタでは、外付け容量不要のロジック電源用レギュレータと内蔵発振回路を新たに開発し、従来比2倍かつ業界トップクラスの高精度発振を実現しました。これにより、単相ファンモータの回転制御では、回転バラツキを低減し、かつ豊富なタイマを活用しソフトスイッチング通電^注2を行うことで静音化と高効率化を実現できます。
また、本LSIには、ヒステリシス差動コンパレータ^注3を搭載しており、ホール素子の使用にも対応しています。ロジック電源用レギュレータの容量と発振子を外付け不要とし部品点数の削減を図ると共に、小型パッケージにすることで、実装基板の小型化を実現しました。

合わせて、回路とレイアウトの工夫により高いノイズ耐性を確保し、国際電気標準会議(IEC)規格であるIEC61000-4-2において最高のクラス4(±15kV)を越える測定限界の±30ｋVをクリアしています。これにより、ノイズ環境の厳しい産業機器にも安心してご使用いただけます。

なお「ML610Q101/ML610Q102」では、簡単に評価を開始できるML610Q102リファレンスボードとソフトウェア開発環境も合わせて用意しており、ホームページからユーザ登録を行うことで様々なマニュアルやツールが利用できるなど、充実したサポート体制を提供しております。