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ビデオデコーダLSI「ML86V76651」

2009年6月8日

OKIセミコンダクタが世界最小ビデオデコーダを開発

-40℃~+85℃での動作を保証し、小型パッケージ・単一電源・低消費電力化を実現

パッケージ写真

OKIセミコンダクタは、ビデオ信号3方式(NTSC、PAL、SECAM)注1に対応した世界最小・低消費電力を実現したビデオデコーダLSI 「ML86V76651」 を開発しました。本LSIは、一般民生用途より厳しい温度範囲(-40℃~+85℃)での使用を可能にしたうえで、電源電圧の単電源化(1.8V)を図り、かつモールドパッケージ品と比べてパッケージサイズ60%削減を可能にした超小型パッケージW-CSP注2(3.8 x 3.7mm)により、世界最小サイズ(当社調べ)を実現しました。これにより、セキュリティカメラシステムや車載用カメラシステムにおける部品点数削減・基板サイズ縮小を可能とし、コスト削減を実現できます。パッケージは超小型パッケージW-CSP 36pinと、一般的に使用されているWQFN 36pin、TQFP 48pinを用意しており、多様な設計環境にも対応可能です。

サンプル出荷は本年6月より、量産出荷は9月を予定しています。

開発の経緯

近年、ビル・店舗などの防犯用セキュリティシステムや交通事故防止のための車載用カメラシステムが普及するなど、世界的に「安全」、「安心」に対する意識の高まりとともに、映像監視システムの需要が急速に拡大しています。これらのシステムは実装スペースに制限を受けるため、ビデオデコーダの小型化及び電源電圧の単一化が求められていました。
そこでこれらの市場ニーズに応え、3方式の世界標準ビデオ信号の全てに対応し、一般民生用途より厳しい広温度範囲での使用を可能としたうえで、小型パッケージ・単一電源化、更に低消費電力化を実現したビデオデコーダLSI 「ML86V76651」 を開発しました。

特長

世界標準のビデオ信号3方式に対応
NTSC/ PAL/ SECAMに対応している為、ワールドワイドに展開する画像機器商品に適しています。
3種類のピクセル周波数に対応
国際標準であるITU-R BT.601規格(13.5MHz)に加え、NTSCスクエア・ピクセル(12.272727MHz)注3、PALスクエア・ピクセル(14.75MHz)注3の3種類のピクセル周波数注4に対応しています。
超小型・単一電源化を実現
超小型パッケージW-CSP 36pin(3.8 x 3.7mm)と、一般的に使用されるWQFN 36pin(6×6mm)、TQFP 48pin(7×7mm)の各種パッケージをご用意し、更に、電源電圧の単電源化(1.8V)を図っています。
車載動作温度に対応した安心品質
動作温度範囲も従来品同様、-40℃~+85℃ を保証していますので、TVシステム用途だけでなく屋外のセキュリティシステムや車載システムなどにも使用できます。
信号環境の悪いアナログ地上波でも安定動作
車載TVに採用いただいた経験を生かし、弱電界信号注5など信号環境の悪い状態でも安定した画像を得られる、優れた同期安定性を実現しています。

今後の展開

OKIセミコンダクタは、今後ともビデオデコーダの多チャンネル化など、セキュリティシステムや車載用カメラシステム市場に向けた画像処理LSI商品のラインアップ拡充を図っていきます。

販売計画

・商品名:
ML86V76651
・サンプル出荷時期:
2009年6月
・評価ボード(貸出):
2009年9月
・評価ボード(販売):
2009年9月(PC制御用ソフト付き、10万円(税別)予定)
・量産出荷予定:
2009年9月

商品の概要/特長

・対応映像方式:
NTSC, PAL, SECAM
・入力アナログ映像信号数:
コンポジットビデオ信号注6 2入力(ビデオスイッチ内蔵)
・ADコンバータ:
10ビットADC 1回路内蔵
・ピクセル周波数[サンプリング周波数]
NTSC(ITU-R BT.601): 13.5MHz[27MHz]
NTSC(Square Pixel): 12.272727MHz[24.545454MHz]
PAL/SECAM(ITU-R BT.601): 13.5MHz[27MHz]
PAL/SECAM(Square Pixel): 14.75MHz[29.5MHz]
・出力データフォーマット
ITU-R BT.656-4
YCbCr 4:2:2 8bit多重+同期信号
・Y/C分離方式:
2次元Y/C分離フィルター
・動作温度範囲:
-40℃~+85℃
・電源電圧:
I/O 1.8V/3.3V, コア 1.8V, アナログ1.8V, PLL 1.8V
(1.8V 単一電源を実現 (I/O 電源は3.3V 印加可能)
・パッケージ:
W-CSP 36pin(3.8 x 3.7mm)、WQFN 36pin(6×6mm)、TQFP 48pin(7×7mm)

用語解説

注1:ビデオ信号3方式
NTSC方式: 主に北米、日本、韓国、台湾で使用されるアナログTV信号
PAL方式: 主に欧州、中国で使用されるアナログTV信号
SECAM方式: 主にフランス、北欧で使用されるアナログTV信号
注2:W-CSP(Wafer level Chip Size Package)
ウェハ状態で一括してパッケージングを行う技術。チップと全く同じ外形寸法にまでLSIパッケージを小型化できる。
注3:スクエア・ピクセル
正方画素。液晶パネルやPC画面に表示する際に縦横比率変換を行なわずに使用できる画像処理に有利なピクセル周波数のこと。ビデオ信号をスクエア・ピクセル周波数でサンプリングすると正方画像データが得られ、縦横比率変換が不要になる。
注4:ピクセル周波数
ビデオ信号をデジタル変換した際の1画素(ピクセル)のサンプリング周波数のこと。 NTSC信号を13.5MHzのピクセル周波数でサンプリングした場合、水平方向1ラインで858ピクセル(有効画素720ピクセル)のデータが得られる。13.5MHzは国際標準ITU-R BT.601で決められた一般的なピクセル周波数だが、液晶パネルやPCモニタに表示する際は正方画素(スクエア・ピクセル)に縦横比率変換を行う必要があり、そのままでは丸が楕円となってしまう。注3の説明のように、スクエア・ピクセルを使用すると縦横比率変換を行わずに液晶パネルやPCモニタにデータが使用できるので画像処理に有効。なおNTSC信号をスクエア・ピクセルでサンプリングすると水平方向1ラインで780ピクセル(有効画素640ピクセル)のデータが得られる。
注5:弱電界信号
電波塔から遠い、山などの障害物で電波が弱いなど、アナログ地上波信号のレベルが小さくなることでノイズが多い映像になってしまう信号。
注6:コンポジットビデオ信号
映像信号の中の輝度信号(Y)と色信号(C)を合成して伝送する方式。テレビ放送や一般的なビデオ機器などで広く利用されている。

※その他記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。

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