A/Dコンバータ

A/Dコンバータの原理

アナログ信号をデジタル信号に変換する際どのようにしているでしょうか?
それは,入力されたアナログ信号が,ある基準より大きいか小さいかの比較を繰り返しています。
ある基準を生成する回路に抵抗ラダーを用いた場合のA/Dコンバータを作ってみましょう。

下図の回路で,仮にVinに1/4VREFが入力された場合を考えてみてください。
基準として抵抗ラダーの1/2VREFを使用すると,
比較回路には1/4VREFと1/2VREFが入力されることになります。
これは1/4VREFと1/2VREFのどちらが大きいかを比較することを意味しており,
当然のように1/2VREFの方が大きいという結果になります。
Vinが基準に比べ小さい場合の比較回路は0を出力するとしますと,今回の比較回路は0を出力します。
これでアナログ信号1/4VREFをデジタル信号0に変換したことになるので,1bitのA/D変換されたことを意味します。

これは本質的に,Vinが1/2VREFより上にあるか,1/2VREFより下にあるかを確認したことになります。
つまり,Vinの場所を探索したと言い換えることができます。

ではさらに細かく,3bitA/D変換を考えてみましょう。下図においてVinに9/16VREFが
入力された場合を考えてみてください。さてこれからVinがどこにいるのか探索する必要があります。
ここではVinを最短で探索する手法である,バイナリサーチという方法を用います。まず,
真ん中の値4/8VREFと9/16VREFを比較します。その結果,9/16VREFの方が大きいという結果となります。
したがって比較回路の出力は1が出力されます。

この結果は本質的に9/16VREFは4/8VREFよりも上にあることを示します。
したがって,Vinの場所を絞ることができました。

次は6/8VREFと9/16VREFを比較します。その結果,6/8VREFの方が大きいという結果となり,
比較回路の出力は0が出力されます。

9/16VREFは6/8VREFよりも小さいことがわかり,さらにVinの場所を絞ることができました。
最後に5/8VREFと9/16VREFを比較します。その結果,5/8VREFの方が大きいという結果となり,
比較回路の出力は0が出力されます。

これは,アナログ信号9/16VREFをデジタル信号に変換すると100となることを意味しており,
3bitA/D変換されたことを意味しています。

この動作を模式的に記載すると下図のようになり,徐々に一回一回逐次的にコンパレータで
比較しVinが存在すると思われる範囲を絞っていきます。

このように逐次的に比較するタイプのA/Dを逐次比較A/Dといいます。
ラピスセミコンダクタのマイコンのA/Dはこの逐次比較A/Dを用いています。

逐次比較A/Dの構成

では,逐次比較A/Dはどのような構成をしているのでしょうか?逐次比較A/Dコンバータの簡単な
構成を下図に示します。さてほとんどのA/Dで言えることですが,A/D変換中にアナログ入力電圧が
変化するとA/D変換結果に大きな悪影響を与えます。A/D変換中はアナログ入力電圧を変化させないように
固定化させる必要があります。そのアナログ入力電圧を固定化するのがサンプルホールド回路です。
そしてそれら回路を制御し,A/D変換結果を出力する部分が制御回路となります。

サンプルホールドについて

ここでは,アナログ入力電圧を固定化させるインバータを用いたサンプルホールド回路に
ついて説明します。サンプルホールドの等価回路を下図に示します。

この回路は,アナログ信号入力時に,内部のサンプルホールドコンデンサへの充電時間が必要に
なります。したがって,サンプルホールド時は十分な充電時間が必要になります。
もし入力インピーダンスが大きい場合,サンプルホールドコンデンサへの充電が間に合わず
A/D変換結果が大きくずれることがあります。

そのような場合,入力インピーダンスを下げる,または,下図のようにA/D入力端子-グラウンド間に
コンデンサを入れるなどの対策が有効ですので覚えておきましょう。